テレビ朝日アナウンサーズオフィシャルサイトより
すっかり“政権御用達”メディアとなったテレビ朝日が、10月改編でとんでもないキャスティングを決定した。1997年からつづく夕方の報道番組『スーパーJチャンネル』のメインキャスターに、同局の小松靖アナウンサーを抜擢したのだ。
小松アナは、以前はABEMAのニュース番組『Abema Prime』やBS朝日の『日曜スクープ!』でキャスターを務めてきたが、2018年に『ワイド!スクランブル』(現『大下容子ワイド!スクランブル』)のMCに大抜擢。そして、10月5日からはついに『報道ステーション』と並ぶテレ朝看板ニュース番組のメインを張ることになったのである。
だが、本サイトでもたびたび取り上げてきたように、小松アナといえば、安倍政権擁護や右派的主張を連発し、ネトウヨに大人気を博してきた局アナだ。
たとえば、『Abema Prime』で沖縄基地問題を扱った際には、小松アナはなんと、基地反対運動へのデマ拡散で知られる「八重山日報」の記者と一緒に沖縄基地反対運動の現場を取材。その際に基地反対運動の住民に「八重山日報は中立、客観的」「沖縄タイムスや琉球新報は反基地ありき」「反対、反対だけ載せると、みんなそっちに流れちゃうじゃないですか」などと無神経なネトウヨそっくりの主張を繰り広げた。
また、「女性はいくらでもウソをつける」発言でまたも物議を醸している自民党の杉田水脈衆院議員による性的マイノリティー差別問題を『Abema Prime』で取り上げたときには、ウーマンラッシュアワーの村本大輔が杉田議員の謝罪撤回はおろか一切説明すらしていない姿勢を批判したところ、小松アナは「杉田さんが出て来ないという決断を当面してる以上は、出て来ないのはおかしいという欠席裁判になるような一方的なことは(言うべきではない)」本当のことがこれ以外にあるかどうかは、杉田さんしかわからない」などと、あろうことか杉田議員を庇いつづけた。
さらに、『日曜スクープ』では、加計問題で愛媛県“首相案件”文書が新たに見つかった際、小松アナは「限りなくグレーな以上、クロとは言えない」「推定無罪という原則は何事にもある」「印象だけで物事が進んでいくことの危険性を我々は知っておかなければならない」などと必死で安倍政権を擁護……。
当然、このような露骨な姿勢を貫いてきた小松アナはネトウヨから熱烈な支持を受け、3年ぶりとなる地上波番組レギュラーとなった『ワイド!スクランブル』に抜擢。そして、『ワイド!スクランブル』は小松アナのせいで安倍政権擁護だけではなくヘイトに近い中国・韓国バッシングを繰り返す『虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)のような番組に成り果てたのだ。
実際、2019年1月には韓国との徴用工・慰安婦問題は「解決済み」などと強弁し「(文大統領には支持率以外に)北と繋がる別の理由があるのではないか」なるネトウヨそのものの陰謀論をまくし立て、同年5月にはトランプ米大統領が関税引き下げをめぐって“いい結果になる”という趣旨のことを語ったことについて、明らかに日本の国益を失う安倍政権の失態にもかかわらず、小松アナは “アメリカにとっていい結果かどうかわからない”などと言って「あまり悲観的になりすぎるのもどうなのかな」と安倍首相擁護を展開。9月には、番組が旭日旗問題をとりあげるなかで「ハーケンクロイツとは全然違う」と強弁し、戦中に日本軍が旭日旗を掲げて侵略戦争を行った史実を矮小化しようとした。
なかでもひどかったのが同年11月、「桜を見る会」をめぐる反社会的勢力との関係についての発言だ。
「吉本芸人と一緒にするのは無理があると思っていて。というのは、島田紳介さん、それから宮迫さんもそうですけれども、反社会勢力から対価を得るということは犯罪によって得たお金を対価としてギャラとしてもらったということになりますから、それとはちょっとワケが違う」
芸人はアウトだけど政権は違う……!? 言っておくが、ジャパンライフがそうであったように、「桜を見る会」に招待されたという事実は、その人物や関係企業に「政府によるお墨付き」を与えていることになる。闇営業で反社と絡んだ芸人よりもよっぽど罪が重いのというのは小学生でもわかる。それを小松アナは、あたかも政府のほうが問題が小さいかのように語ったのである。
言わずもがな、報道機関の役割は権力に対する監視だが、小松アナは徹底して権力側の擁護を繰り出す。しかも、小松アナの政権擁護の特徴は、あまりにも無理がある雑な話を自信満々で公共の電波に乗せてしまうことだ。