「『会費5000円、あり得る』ホテル関係者」の見出し、でも本文にはそんなコメントはなし
いずれにしても、産経新聞は安倍首相を擁護すべく、比較対象にならない簡素な政治資金パーティの「朝食会」と、酒飲み放題の「桜を見る会前夜祭」をわざと同列にならべて、安倍側が言い張る「会費5000円でできたもん!」を正当化しようというのだ。こんな子ども騙しの“フェイク”を堂々とぶってくるとは、逆に笑えてくるではないか。
いや、この「一人1789円」記事だけではない。産経は他にも必死すぎるあまり、一読して無茶苦茶な政権擁護記事を次々繰り出している。「首相夕食会『会費5000円、個別領収書あり得る』ホテル関係者」(産経ニュース19日)と題した記事なんて典型だ。
コレ、どういう話かというと、匿名の〈会場となったホテルの関係者〉が「安くても受けることがあり得る」「例えば『総額でこれくらいで収めてほしい』という相談があれば、応じざるを得ない」「注文を断れば収入はゼロになり、別の日への変更も不可能だ。スケールメリットなどを総合的に考える」「参加人数で割れば、いろいろな金額になることはある」などと証言した、と産経は言うのだが、お気づきだろうか。
実は、タイトルには「会費5000円、個別領収書あり得る」と書いてあるのに、記事のどこを読んでも、その「ホテル関係」なる匿名人物が「5000円でできます」とはまったく明言していないのである。
この人物が言っているのは、ようするに、予約が入りにくい閑散期や空きがあるときの直前予約などでは値引きすることもありうる、という一般論でしかない。しかも、問題の「桜を見る会前夜祭」が行われているのは4月で、閑散期でもなければ、直前に予約されているわけでもない。逆に産経は、「前夜祭」がスケージュールや条件的に、「注文を断れば収入はゼロ」になるような割引案件ではないことを、間接的に示してしまったとさえ言えるだろう。