明石家さんまも有森裕子も東北復興を無視する東京五輪を批判
さらに、さんまは、安倍首相はじめ招致に躍起になる人々から“お荷物”扱いを受けていた福島に、こう思いを寄せた。
「福島の漁師の人にインタビューしてはったんですけど、『7年後のことは考えてられへん』と、『俺ら明日のことを考えるのに精一杯や』って言わはったコメントが、すごい重かったですよね。だから、あんまり浮かれて喜ぶのもどうかと思いますけどもね」
東北のことを無視した東京五輪に対する怒りの声は、当のアスリートからも出ている。
バルセロナ、アトランタ五輪のメダリストである元マラソン選手の有森裕子氏は、2017年6月17日放送『久米宏 ラジオなんですけど』(TBSラジオ)にゲスト出演した際、「あまりにも“オリンピックだからいいだろう”“だからいいだろう”“だからこう決めるんだよ”とあまりに横柄で。なぜこうまで偉そうになっちゃうんだろう。社会とずれる感覚を打ち立てて物事を進めている。横柄だし、雑だし傲慢」と、五輪至上主義を強引に押し付ける政府のあり方に疑問を呈しつつ、このように語っている。
「そもそもなぜ東京五輪を招致したのか。一番大切なのが、復興だったはずです。スポーツによって、日本を元気に変えよう。日本に大きな災害があって、オリンピックを呼ぶことで復興させられるんだと、最たる手本になる国になる。そのつもりで私もブエノスアイレスでロビー活動をしました。でも蓋を開けたら全然いま違う。復興どころか、どこを見ているんだろう。結局何をやろうとしているんだろうというのが正直あります。どこか不安で、反抗したくなるような、やらなきゃいい、返上すればいいという感情を促してしまう。すごく残念です」
「復興五輪」のテーマが完全に忘れ去られているという思いは、東北に暮らす多くの人がもっているものだ。河北新報社とマーケティング・リサーチ会社のマクロミルが、東北6圏と首都圏を対象に実施したアンケートでは、「「復興五輪」の理念は明確か」の質問に63.6%が「明確でない」と答え、また、「復興に役に立つか」の質問にも52%が「役に立たないと思う」と答えている(2018年3月11日付河北新報ONLINE NEWS)。
これだけ東北の被災地を蔑ろにし続けてきて、IOCにマウントを取るためだけにまたぞろ「復興五輪」を持ち出す。今回浮上した“被災地開催案”は、小池都知事が、東北の復興を真剣に考えているから出てきたものではなく、むしろ東北の被災地を利用することしか考えていないということが、あらためて浮き彫りになったと言えるだろう。
(編集部)
最終更新:2019.10.25 05:44