被爆者7団体との面会でも、核兵器禁止条約への参加拒否した安倍首相
国連が核兵器禁止条約を採択した2017年以降、松井市長が平和宣言において、日本政府の核兵器禁止条約への署名・批准にここまで踏み込んだのははじめてのことだ。それだけ、安倍政権が核廃絶に背を向けつづけている現状に業を煮やし、危機感を持っているということだろう。
さらに、松井市長の平和宣言だけではなく、きょうの式典では国連事務総長であるアントニオ・グテーレス氏のメッセージを国連の中満泉・軍縮担当上級代表が代読したが、それは「唯一の被爆国」の代表たる安倍首相こそが訴えるべき内容だった。
「私たちはいま一度、被爆者の方々が世界中に広めてきた重要なメッセージを思い出さなくてはなりません。それは、核兵器の使用を防ぐ唯一の確実な保証は核兵器の完全な廃絶であるということです」
しかし、これらのメッセージが安倍首相に届いたとはけっして思えない。現に、この式典後におこなわれた被爆者7団体との「被爆者から要望を聞く会」では、核兵器禁止条約への署名・批准を求める声に対し、安倍首相は〈参加しない考えを示した〉(毎日新聞)という。“安倍様のNHK”は「被爆者団体と面会の安倍首相 核軍縮働きかけの考え改めて示す」などと伝えたが、実際は「核兵器禁止条約への署名・批准を拒否」がその中身だったのだ。
それだけではない。安倍首相は、それまで慣例として広島・長崎でおこなわれてきた被爆した人たちの暮らす原爆養護ホームの訪問を2013年以来サボりつづけ、2014年には訪問をドタキャンした挙げ句、戻った東京では歯の治療と美容室で散髪をするという信じがたい行動に出ていた。昨年は久々に原爆養護ホームの訪問をおこなったが、これについて本サイトは「国連のグテーレス事務総長が長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典への出席や被爆者との面会を予定しているため、自分が被爆者との面会をしないわけにはいかなくなってのことだろう」と言及したのだが、案の定、今年、安倍首相は原爆養護ホームの訪問もせず帰京。官邸に着くなり、御用メディア・産経新聞社の特別顧問で“メシ友”である清原武彦氏と面談をおこなっている。
スピーチでは「被爆者の方々から伝えられた被爆体験を、しっかりと、若い世代へと語り継いでいく」などと述べながら、実際には被爆者を見舞うこともせずにメディア幹部との面談を優先させる──。しかし、これこそが安倍首相の正体なのだ。戦争の加害責任を認めようとせず歴史修正に血道を上げる安倍首相だが、過去に、核武装・保有を肯定する発言をしたことがあるように、この男には、原爆被害国としての使命感など微塵もない。
日本が世界に核廃絶をアピールするためには、まず、この男を権力の座から引きずり下ろすしかないのだ。
(編集部)
最終更新:2019.08.06 07:54