「公文書管理見直し」の結果、安倍首相と省庁幹部の面談記録が一切作成されなくなった!
じつは、これとよく似たことはすでに起こっている。森友・加計学園問題などを受けて、安倍首相は「私のリーダーシップの下、公文書管理の在り方について政府を挙げて抜本的な見直しをおこなう」などと宣言。昨年4月に行政文書の管理に関するガイドラインを改正したが、改正後、官邸は安倍首相と官庁幹部との面談の際に議事概要などといった打ち合わせ記録を、一切、作成していないことが判明。一方、この問題を追及している毎日新聞の取材では、複数の省の幹部職員がこんな証言をおこなっている。
「官邸は情報漏えいを警戒して面談に記録要員を入れさせない」
「首相の目の前ではメモは取れない。見つかれば、次の面談から入れてもらえなくなる」
「面談後に記録を作っても、あえて公文書扱いにはしていない」
「幹部は面談後、記憶した首相とのやり取りを部下に口頭で伝えてメモを作らせている」
つまり、安倍官邸は森友・加計問題などの再発防止策として打ち出したガイドライン改正によって、そもそも公文書を改ざんしたり隠蔽する必要がないよう、はなから記録を残さないようにしてしまった。安倍首相が「徹底的に実施する」と言っていたのは、「正確な面談記録をこの世からなくしてしまう」ことの徹底だったのである。
この実例に照らし合わせれば、今回の統計不正問題の「再発防止策」は、内閣官房からの出向者によって省庁に睨みをきかせて忖度をより強化し、同時に政権にとって不都合な統計データが世に出る前に官邸がそれを把握してコントロールできる、官邸支配のための手段でしかないだろう。
そして、こうしたシステムづくりは、安倍官邸にとって喫緊の課題だったはずだ。というのも、この10月からは消費税率が10%に引き上げられる。そうなれば、あらゆる統計にその負の影響が表れることになるのは間違いないからだ。
政権維持のため、政府統計が本格的に歪められてゆく──。冗談ではなく、安倍官邸が本当に「真理省」になってしまう日も近いかもしれない。
(編集部)
最終更新:2019.07.28 07:39