著書でも処世術を開陳している指原莉乃だが……(講談社『逆転力〜ピンチを待て〜』)
AKBグループ毎年恒例のイベント「AKB48選抜総選挙」が今年は行われないことが発表されAKBの隆盛もいよいよ終焉を感じさせるが、対照的にますます活躍の勢いを増しているのが今年4月をもってAKBグループを卒業する指原莉乃だ。
そんな指原の発言が一部で物議を醸している。2月27日深夜に放送された『ナカイの窓』(日本テレビ)での発言だ。
この日の『ナカイの窓』では、「世直しの窓 第2弾」と題されたコーナーが放送されていた。「世直しの窓」は、中居正広、指原莉乃、ヒロミ、バカリズム、陣内智則の5人が、世の中に対する不満を語り合うトークコーナーである。
そのなかの「ネット社会のここを直して!」というテーマで、中居は「なんか…モメてる」と書かれたフリップを出し、「なんか揉めてる感じ。誰かケンカしてる感じ? 誰が仕掛けてるの、このケンカは?」と、SNSで毎日のように起こる炎上騒動に対する疑問を提示した。
それに対して、いの一番に反応したのが指原だ。指原はこんなことを言った。
「ただご飯行ってきましたよとか、そういうことだけなら良いんですけど、最近なぜか政治を語りたがるタレントとか……」
出た。例の「芸能人は政治発言をするな」「○○(音楽、お笑い、映画……)に政治を持ち込むな」というやつだ。最近だと辺野古埋め立てをめぐってローラが「沖縄の海を守ろう」とSNSで呼びかけてバッシングを受けたのが記憶に新しいが、いつまでこんなことを言っているのか。
たとえばアメリカで多くのミュージシャンや俳優がトランプ大統領に対し批判の声をあげているように、芸能人であっても社会問題や政治について意見を発信するのは海外では珍しいことではない。アーティストの発信によって多くの人が興味をもち事態が動いた例だって、たくさんある。ところが日本では先のローラの例に限らず、こうした発言をした芸能人は激しい非難を浴び場合によっては仕事を干されることすらある。
指原の発言はまさに日本の芸能界の後進性と同調圧力を象徴するものだと思うが、問題はそのあとだった。
指原は、「政治を語りたがるタレント」がたとえば誰のことを指しているのかと共演陣から問われ、嘲笑気味にこう答えたのである。
「ウーマンラッシュアワー村本」
この返答にスタジオは大爆笑。ヒロミは「あいつはもう本気だからね」とコメントする。そして、指原はSNSでの炎上が起こる流れを、加えてこのように解説するのであった。
「世間の芸能ニュースにちょっと一言言いたいとか、そういうことに利用する人も増えています」
「村本さんだけじゃなくって、みんなちょっとネットニュースを引用して、『これはちょっとどうかと思う』とか、そういうことを言う」
「それにさらに噛み付いた人がいて、それで口論になったりしたりして、なんか揉めてる感じ」
ここで注目すべきは、指原が「政治を語りたがるタレント」としてウーマンラッシュアワーの村本大輔の名前を出したことだ。ここに指原発言の、そして「芸能人は政治発言するな」論の、正体がよくあらわれている。