イージス・アショア配備でポーランドの経済損失は900億円!
しかも、イージス・アショアの設置は、その土地の環境や価格等にも悪影響を及ぼす。共産党の穀田恵二衆院議員が機関誌「前衛」2018年9月号で、秋田市と同じく市街地付近でのイージス・アショア配置計画が進んでいるポーランドの事例を報告している。
ポーランドでは2020年より、北部・スウプスク市の中心部から4kmに位置するレジコボ基地にて、アメリカ軍によるイージス・アショアの運用が始まる予定だ。共産党は、イージス・アショア配備にあたって、米国とポーランドの両政府間で合意した「基地周辺の土地及び空域の使用に関する規則」と題する文書を入手。そこには、レーダー等を妨げないために基地周辺に設けられた複数の制限が記載されていた。
〈例えば、「基地から三五キロ圏内では、建物の高さを一五・二四メートル以内にする」、「基地周辺の空域は飛行を制限する」、「基地から四キロ以内では、風力発電施設の建設を禁止する」というものです。〉(「前衛」より)
こうした内容は政府間で合意されるまで市側に明かれなかったというが、これらの規制によって、スウプスク市が被った経済損失は、25年間で900億円にのぼるとの試算が出ている。
また、前出の軍事評論家・文谷氏は「アショア自体に防衛能力がないとは言わないが、それは心理的効果、つまり“お守り”程度でしかない」という。実際、イージス・アショアを導入したとしても、飽和攻撃(迎撃可能数を上回る大量一斉攻撃)によってほぼ無意味化するという指摘が専門家からもあがっているし、米朝韓の関係が融和に向かったいま、文谷氏の言うように、現実には大衆の心理的安心感を少しばかり高めるぐらいの効果しかないだろう。
ありえないほどの費用高騰、「米国の盾」となるための候補地の決め打ち、おざなりな電磁波対策、説明する気がない土地への影響、そもそもの配備必要性の減少……。それでも、安倍首相はイージス・アショアをはじめとする“貢物”で、トランプ大統領に尻尾を振る。国民の血税が無暗に垂れ流され、配置候補地の安全と安心が逆に脅かされているにも関わらずに、である。通常国会で徹底した追及が必要だ。
(編集部)
最終更新:2019.02.02 11:04