「余命三年時事日記」のブログ執筆者も番組の直撃に無責任なコメント
番組ではこのほかにも、弁護士への懲戒請求を煽った「余命三年時事日記」のブログ執筆者である男性に取材し、「書いているものっていうのは、初期のアレなんかたんなるコピペですからね」「作り話じゃないですよ。事実をコピペしているだけで。何の変哲もない普通のコピペブログですよ」なる発言を引き出すなど、ネット上で巻き起こるバッシングがいかにデタラメで無責任な姿勢から生み出されているかを取材によって明らかにしたのだ。
そして、杉田議員や橋本議員といった安倍自民党の政治家も、ヘイト極右雑誌編集長の花田氏も、「余命三年」ブログ主も全員が全員、恫喝や虚偽の情報の流布、謂われのない誹謗中傷や業務妨害を煽動しながら、平然としている。ようするに、バッシングの流れをつくり出し、相手を「敵」として周知させた時点で、連中にとっては目的を達成しているからなのだろう。
ちなみに、この番組でバッシングの背景に迫ったディレクターは、MBSの斉加尚代氏。斉加氏は沖縄ヘイトデマを検証した『沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素顔~』や、「慰安婦」問題を扱った教科書を採択した学校に恫喝や圧力がかけられるという教育現場の問題を取り上げた『教育と愛国 ~教科書でいま何が起きているのか~』といった番組を手がけ、民間放送連盟賞テレビ報道部門優秀賞やギャラクシー賞大賞など数々の賞を受賞してきた。
だが、斉加氏が「余命三年」の本を出版してきた青林堂に取材を何度も申し込んだものの、先方はそれを拒否。挙げ句、青林堂はTwitterで「ブラック記者」と名指しした。そのためなのか、この番組は放送前から〈ネット上で一部の人々から標的にされた〉といい、〈先月末から6日間 取材者を名指しするツイートの数〉は、なんと5000件を超えたという。番組の最後には、こんなテロップが流れた。
〈その発信源を調べると ランダムな文字列のアカウント つまり「使い捨て」の疑いが 一般的な状況に比べ 3倍以上も存在した
およそ2分に1回 ひたすらリツイート投稿する アカウントも複数存在した
取材者を攻撃する発言数が 最も多かったのは「ボット」(自動拡散ソフト)の使用が 強く疑われる
つまり 限られた人物による 大量の拡散と思われる〉
図らずも、バッシングの源流を辿ったディレクター自身が、同じようにバッシングに晒された──。いや、こうして「敵」をつくり出して攻撃を煽動する安倍自民党議員やその応援団、ヘイト極右たちの動きは、絶えず起こりつづけている問題だ。だからこそ、斉加氏のように背景に迫り、その無責任さをあぶり出す作業が重要になってくる。この番組に拍手を送ると同時に、バッシングの背後に何があるのか、本サイトも今度とも引きつづき検証していきたいと思う。
(水井多賀子)
最終更新:2018.12.26 12:29