女性差別には無視を決め込むテレビ、週刊誌は「女医は嫌」と
さらに、このツイートに対し、南川麻由子弁護士が〈びっくり仰天。文科省トップがこの程度の認識。5人の方は東京医大が勝手に今回設けた「入学受け入れ人数上限」から漏れただけ。過去2年に合格しなかったはずの人たちではありません。大臣なら大臣らしく、まず事実を正しく認識してから発言すべきでは〉とコメントを寄せると、柴山文科相はこう反論したのだ。
〈事実関係を把握すべきはあなたです。「勝手な枠」ではありません。下駄を履かせた最低点以上の人がみんな合格したら、既に入学した何人かを追い出すことになります。だから当初の枠で採点し直し、新たな最低点以下の既存合格者の分の定数は来年から差し引くとしたのです〉
合格最低点より高い者が不合格になる不条理が発生しているのは大学側の都合でしかなく、「勝手な枠」に違いない。なのに、それを認めずに、居丈高に「事実関係を把握すべきはあなた」などと不正した大学の都合に丸乗りした主張を繰り返す──。ようするに、柴山文科相にはこの「女性差別」入試問題について、根本的な指導や調査が必要だという認識が、まったくないのだ。
こうした文科相の姿勢は、メディアの報道とも相通じる。順天堂大の「コミュ力が高いから女子は減点」などというとんでもない不正が発覚したのに、本日放送のワイドショーではまったく取り上げられず。日本大学アメリカンフットボール部の不正タックル問題ではあれだけ大騒ぎしていたのに、この違いは一体何なのか。
東京医大問題が発覚したあとも、「週刊現代」(講談社)が「やっぱり医者は男のほうが安心する」「女性医師を増やすのは国民にとって幸せか」「新聞がなんと言おうと 女性医師の手術はいやだ」などとタイトルにつけ、女性差別や不正入試を正当化する特集記事を展開したが、この国ではそうやって「#MeToo」運動といい不正入試といい、大臣が自ら女性に対する差別を矮小化あるいはバッシングしようとし、メディアもこれに同調してきた。これではいつまで経っても、この国から女性差別がなくなることはないだろう。
(編集部)
最終更新:2018.12.11 10:14