テレビ朝日『朝まで生テレビ!』(18年11月30日放送)
昨日、総務省が公開した2017年分の政治資金収支報告書だが、またもテレビでおなじみのコメンテーターらに自民党からカネが流れていたことがわかった。
そのひとりが、東京大学講師の三浦瑠麗氏だ。
三浦氏といえば、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)で披露する、鼻で笑いつつ繰り出す「上から目線」トークがなぜかウケて、『ワイドナショー』(フジテレビ)などテレビでおなじみの論客になったが、そんな三浦氏の名前が、今回公表された自由民主党本部の収支報告書の支出欄に登場。昨年11月9日に「遊説及び旅費交通費」の名目で8万7580円を自民党本部が三浦氏に支払っているのである。
調べてみると、三浦氏は約8万円が支払われた約10日前にあたる2017年10月29日に自民党山口県連が主催した「政経セミナー」に参加。三浦氏は講師として「新勢力均衡時代の訪れ」をテーマに講演しており、山口新聞10月30日付けの記事には〈米国や中国、北朝鮮との関係など国際情勢を踏まえ、憲法9条や非核三原則を巡る議論などに自民党が攻めの姿勢で取り組んでいく必要性を説いた〉とある。自民党から支払われた金は、この講演会絡みのものである可能性が高い。
10月29日といえば、自民党が圧勝した衆院選からわずか1週間後のこと。そんなタイミングに、よりにもよって安倍首相が所属する自民党山口県連で、憲法9条について講演をおこなっていたのだ。
しかも、三浦氏は「中学生が9条を読むと、自衛隊は違憲にも読める」(日経ビジネスオンライン2017年8月3日付)と、まるで安倍首相の「ほとんどの教科書に自衛隊が違憲であるという記述がある」という主張を強化するような主張をしたり、安倍首相による憲法9条に自衛隊を明記する改憲案にも「自衛隊を認知させることだけでも大きな意味がある」(「WEB RONZA」2017年11月22日付)と述べている。
ようするに、衆院選の圧勝によって本格的に憲法改正に乗り出そうとする安倍首相の地元・山口県で、三浦氏は改憲への気運を高める“応援活動”に勤しみ、その対価を自民党から受け取っていたと考えられるのである。
そもそも、三浦氏はこれまで巧妙な安倍政権擁護を繰り出してきた人物だ。たとえば、安保法制に対しては〈解釈改憲には「一定の筋の悪さ」が付きまとっています〉と政権側にひと言申したフリをしつつ、安保論議は法律論に押し込めるべきではない、安倍政権は憲法論議に正面から向き合わなかったのは画期的などと最終的には安倍政権の立憲主義破壊を肯定。森友問題でも近畿財務局の職員が自殺したことを「この問題っていうのは人が死ぬほどの問題じゃないんですよ」と発言して公文書改ざんを矮小化し、加計問題では大企業優遇の経済政策を引き合いに出しながら結果的には“トヨタもいいんだから加計も問題ない”という論を展開した。
こうして人気の論客としてメディアに登場しては安倍政権をアシストしてきた三浦氏が、自民党からカネを受け取っていたとは──。
しかし、自民党からカネが支払われていたのは、三浦氏だけではない。今年、特別解説委員を務めていた時事通信社との契約が解除された田崎史郎氏だ。
田崎氏は『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)や『ひるおび!』(TBS)、『とくダネ!』『直撃LIVE グッディ!』(ともにフジテレビ)などに出演しては、官邸の代弁者のごとく政治報道を解説している“安倍応援団”の筆頭株であり、安倍首相と会食を繰り返していることでも有名。ネット上では寿司を一緒に食べる間柄を揶揄して“田崎スシロー”などとも呼ばれている。
だが、その田崎氏にも、三浦氏と同じ昨年11月9日、自民党本部が「遊説及び旅費交通費」の名目で8万3780円を支出しているのである。