プーチンは辺野古問題もちだし「米軍基地を日本が決められるのか」
しかも、ロシア国防省は択捉島と国後島に新たに軍人用の集合住宅計4棟を建設し、「択捉と国後では軍事施設や住宅、学校など200以上の新築や改修が計画されている」と発表したばかり。北方領土の軍事拠点化は進む一方で、安倍首相の提案を勘案している気配はまったくない。
さらに、プーチン大統領は昨日おこなった年末会見で、辺野古の新基地建設に「知事が基地拡大に反対しているが、何もできない。人々が撤去を求めているのに、基地は強化される。みなが反対しているのに計画が進んでいる」と言及し、「(米軍基地は)日本が決められるのか、日本がこの問題でどの程度主権を持っているのか分からない」「平和条約の締結後に何が起こるのか。この質問への答えがないと、最終的な解決を受け入れることは難しい」と述べたのだ(朝日新聞デジタル20日付)。
言論弾圧や人権侵害をやり放題のプーチンは、辺野古新基地建設の強行にどうこう言えるような人物ではないが、たしかなことは、領土問題にかんし、安倍首相は完全にプーチンに足元をみられているということだろう。
打開策も解決策もないこのような状態で、2島返還など夢のまた夢──。一体、これのどこが「外交成果」「安倍首相の手柄」になるのか、さっぱり意味がわからないが、恐ろしいのはこのあと。なんと、安倍首相は「2島返還について国民に信を問う」と謳い、来年、衆参同時選挙を目論んでいると囁かれているのだ。
「最近の世論調査でもロシア国内で北方領土返還に反対するロシア人は7割を超えており、プーチンが2島返還に応じることはまずない。でも、さらなる経済協力を日本から引き出したいプーチンは、安倍首相に恩を売るため、進展しているフリはしてくれるはず。安倍首相にとっては改憲に向けて衆参で3分の2をがっちり固めるためにも、『領土問題を解決できるのは安倍首相しかいない』という空気を利用したがっている」(大手紙政治部記者)
絵空事の領土返還を安倍官邸が振りまき、今後、さらに「安倍首相しかいない」というプロパガンダは強化されてゆくだろう。今回の外交文書の公開は、その一環でしかない。そして、メディアの無批判な報道を見ていると、衆参同時選挙に雪崩れ込むという噂に背筋が寒くなるのである。
(編集部)
最終更新:2018.12.21 11:43