外国人技能実習生から搾取したお金は、政治家や官僚の関係組織に
まさに山本議員の指摘通りだ。しかも、今回の外国人労働者の受け入れ拡大 では、業種によってはほとんどを技能実習生からの移行を想定しており、受け入れ拡大によって監理団体はさらに儲かり、日本ミャンマー協会のような監理団体から手数料を徴収する団体にも多額の金が転がり込むことになるだろう。
いや、これだけではない。外国人技能実習生や留学生の問題を取材しつづけ、東亜総研や日本ミャンマー協会に政治家が絡んでいることを指摘してきたジャーナリストの出井康博氏の著書『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社)によると、技能実習制度を統括する「公益財団法人国際研修協力機構」(JITCO)は、監理団体や受け入れ企業からの会費によって年13億円近くを得ているのだが、このJITCOは法務省や厚労省など各省庁の天下り先になっているというのだ。
こうした問題を、出井氏はこのようにまとめている。
〈受け入れ企業の上には監理団体と送り出し機関があって、さらに制度全体を統括するJITCOが存在する。このピラミッド構造を通じ、実習生の受け入れが一部の業界関係者と官僚機構の収入源となっている。そして陰では、官僚や政治家たちが利権を貪っているわけだ。その結果、実習生の賃金は不当に抑えられてしまう〉
技能実習生たちが最低賃金以下で長時間労働を強いられた上、なけなしの給料からさらにむしり取られた金が、大物政治家や元官僚たちが関与する団体・機構に流れ込む──。だからこそ、政府は技能実習生の搾取の実態を「黙認」しようとするのだ。
しかも、だ。入管法改正案では、新設の「登録支援機関」に外国人労働者の支援をおこなうことになっているが、この機関には監理団体がスライドすると見られている。そして、現行の技能実習法では主務大臣が監理団体に対して指導や改善命令を出すことができるが、それが改正案では、登録支援機関には指導・助言しかおこなえない。つまり、より「甘く」なっているのだ。
生身の人間ではなく“安価な労働力”としか見ず、さらに外国人労働者を食い物にしようとする政治家や天下り官僚たち。こんな法案を成立させるようなことは断じて許されないだろう。
(編集部)
最終更新:2018.11.23 11:52