TBS『上田晋也のサタデージャーナル』番組サイトより
高プロ、参院定数6増に続いて、国民の大半が反対しているカジノ法案も今国会で成立してしまった。豪雨被害そっちのけでカジノ法案まで強行するとは……その国民不在の姿勢にはもはや言葉もないが、こんな暴挙が許された最大の原因は、マスコミがこの間の安倍政権の災害対応をほとんど批判しなかったからだ。
とくに、今月5日、安倍首相と小野寺五典防衛相が対策をほったらかして「赤坂自民亭」のどんちゃん騒ぎに参加していた問題は、数日間、TBSの一部の番組をのぞいて、全く報道されなかった。
野党が国会で追及し始めた10日頃からようやく、他局も報じ始めたが、申し訳程度に「野党が批判している」とか「ネットで非難を浴びている」と紹介しただけ。メディアがきちんと批判する姿勢は全く見せなかった。
モリカケで一時弱まったかに見える安倍政権忖度が完全に復活している印象だが、そんななか、安倍首相に対して、敢然と批判の声を上げた大物芸能人がいる。それはくりぃむしちゅーの上田晋也だ。あまり政治的な話に踏み込むイメージのない上田だが、7月14日に放送された『上田晋也のサタデージャーナル』(TBS)でこう語った。
「以前、えひめ丸の事故のとき、森喜朗首相がゴルフやってて退陣まで追い込まれたじゃないですか。僕はまったく同レベルの話だと思うんですよ」
この日の『サタデージャーナル』は、「政治家としての“感覚”を問う 災害対策は? 豪雨の夜に“赤坂自民亭”」と題し、ジャーナリストの龍崎孝、元衆議院議員の金子恵美、脚本家・CMディレクターの大宮エリーをパネラーに迎えて安倍首相らの赤坂自民亭参加について議論が行われた。
批判の口火を切ったのは、大宮エリーだった。
「気象庁が発表した時点で動いてなくちゃいけないわけじゃないですか。リーダーシップをとって。国が一番最初に情報を掴んでなくちゃいけないのに、結局その時点ではこんなになるとは思わなかったって発言があったりとかして、怒りを通り越して呆れているというか悲しい」
「全然学習してないし、どんどんひどくなってる。信じられるか、られらないかだと、もう信じられないし、辞めてほしい。首相って、国を守る人じゃないですか、普通はあの時間にもっと打ち合わせしてなくちゃいけないじゃないですか、もしくは、もう打ち合わせ終わって飛び散ってなくちゃいけないのに、宴会してるっていうのが、もう言葉がない」
もう信じられないし、辞めてほしい──。まさに大宮の言う通りだろう。さらに、番組では、赤坂自民亭の様子を説明するくだりで、岸田文雄政調会長が地元広島の日本酒「賀茂鶴」を差し入れ、また、安倍首相は地元山口の「獺祭」を差し入れたため、参加者は「どっちを飲むんだ?」とプレッシャーをかけられながらも、どちらの酒も美味しく飲んだという解説がなされる。すると、その言葉を受けて上田はこう切って捨てた。
「どうでもいいですしね、本当に。そんなどころじゃないよっていう話なんですけれども」
そして、上田は大阪の地震のときの対応も引き合いに出しながら、こう語ったのである。
「先日の大阪の地震のときもね、安倍総理と岸田さんお食事会してらしたわけでしょ。で、今回のコレでしょ。僕はね、以前、えひめ丸の事故のとき、森喜朗首相がゴルフやってて退陣まで追い込まれたじゃないですか。僕はまったく同レベルの話だと思うんですよ」
えひめ丸の事故というのは、2001年2月、愛媛県立宇和島水産高等学校の漁業練習船えひめ丸が、浮上したアメリカ海軍の原子力潜水艦グリーンビルと衝突して沈没。この事故により、えひめ丸に乗っていた高校生ら9名が死亡したが、森喜朗首相(当時)は事故の連絡を受けたにもかかわわらず、休暇中に訪れていたゴルフ場から動かなかったことで猛批判を浴び、退陣に追い込まれた。
上田は国民の命が危険に晒されているのにも関わらず、自民党の仲間内で宴会を優先させる安倍首相の姿勢はこのときの森首相と同じ、つまり、安倍首相の行為も退陣に値すると批判したのだ。この間、さまざまな評論家やコメンテーターたちが「赤坂自民亭」についてコメントしていたが、ここまで踏み込んで正論を吐いたのは、上田だけだろう。