惜しまれる井ノ原快彦、有働由美子コンビの『あさイチ』3月降板
だが、これに竹内氏は「技術を利用しないことによるリスクもある」などと強弁し、イノッチに対して「いま井ノ原さん電気代が上がっていたのをもちろん知ってたけど、とおっしゃってくださいましたけど、あまり意識していない方が多い」などと言い出した。しかし、井ノ原は一歩もひかず「そんなことはない」と反論。こう続けたのだ。
「なんで(電気代が)上がっているのかというのをね、細かく知っているかはどうかは別としても、なんかやっぱり上がっているというのはニュースにもなっているし、取り扱っていると思っているんですね、われわれとしても」
繰り返すが、人の命よりも重大な「リスク」など存在しないし、これをもち出すとしたら「人命よりも再稼働」と正直に言わないといけない。井ノ原が『あさイチ』で突きつけたのは、まさにそうした原発容認派の詭弁への正面からの回答だろう。
これまでも井ノ原は、安倍政権が進める好戦的なムードに報道さえもまっすぐに「反戦」を打ち出せないなかにあって、『あさイチ』で「いつ(戦争が)起きてもおかしくないっていうのを、もうちょっとリアルに想像できるかなって」「たとえば日本でひとつの流行が起こったときに、誰が止められるかっていえば、誰も止められないじゃないですか」と危機感を表明。また、安倍首相や日本会議などの右派が猛反発している夫婦別姓についても「(氏名が)同じでも一体感がないときもある」「他人同士でも一体感は生まれるから」と一蹴するなど、踏み込んだ発言をしてきた。
しかもその目線は、決してインテリぶったものでも、ネット右翼がいう「サヨク」的なものでもなく、ひとりの生活者としての実感に根付いたものだ。今回の「命が一番大事だ」という原発容認派への反論にも、そうした井ノ原の実直さが表れている。
だが、“安倍さまのNHK”と揶揄される状況下で、こうした番組での発言にはプレッシャーもあったのは想像にかたくない。先月、NHKは井ノ原と有働アナが3月末をもって『あさイチ』を降板すると発表した。長く好視聴率を維持する看板番組の人気MCがふたりそろって降板というのは異例のことだが、リニューアルとともに『あさイチ』のリベラルなスタンスも変化させられてしまうことが懸念される。以前、イノッチは『あさイチ』でこう話していた。
「まわりから『そんなこと言わないほうがいいんじゃない?』と言われるような、そういう人がいなくなるのがいちばん怖い」
番組は降板するが、井ノ原や有働にはこれからも生活者の視点から政治権力やその政治に物申す、まっとうな言論を続けていってもらいたい。本サイトは、そんなイノッチたちを応援している。
(編集部)
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最終更新:2018.03.11 07:04