産経はデマをもとに「報道機関を名乗る資格はない」と沖縄2紙を攻撃
しかも、県警交通機動隊は〈産経新聞は事故後一度も同隊に取材していない〉としている。つまり、沖縄2紙に「報道機関を名乗る資格はない」とまで言い切っていたのに、産経は県警に事実確認の取材さえしていなかったというのだ。
琉球新報によると、産経が嘘の記事で2紙をバッシングして以降、〈本紙にも抗議の電話やメールが多数寄せられた〉という。それでも続報を書かなかったのは、〈県警や米海兵隊から救助の事実確認ができなかった〉〈一方で救助していないという断定もできなかった〉からだ。そして、米海兵隊がその事実を否定していたとしても〈曹長が誰かを助けようとしてひかれた可能性は現時点でも否定できない〉〈救助を否定することで(引用者注:曹長にとって)いわれのない不名誉とならないか危惧した〉という。これは報道機関として真っ当な慎重さだろう。
だが、琉球新報は今回、〈沖縄メディア全体を批判する情報の拡散をこのまま放置すれば読者の信頼を失いかねない〉と判断。記事のなかで、産経にこう呼びかけている。
〈曹長の回復を願う家族の思いや県民の活動は尊いものだ。しかし、報道機関が報道する際は、当然ながら事実確認が求められる。最初に米軍側が説明を誤った可能性を差し引いても、少なくとも県警に取材せずに書ける内容ではなかったと考える。
産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい〉
産経が好んで用いる言葉を使うなら、まさしく「大ブーメラン」である。県警取材さえ怠り、しっかり裏付けもとっていない情報を事実として伝えたことはもとより、それを沖縄メディア批判の道具にしたことは卑劣としか言いようがないだろう。
だが、こうした事実を突きつけられてもなお、産経は開き直っている。一連の記事を執筆した産経新聞那覇支局長である高木桂一氏は、琉球新報の取材に対し、こう述べているのだ。
「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」
この期に及んで、よくもこんな態度でいられるものかと思うが、気になるのは「しかるべき取材」という部分だ。県警にも取材していなかったのに、一体、何を取材したというのか。
じつは、産経が「トルヒーヨ曹長が日本人を救出した」と伝えた昨年12月9日より以前に、これを事実としてネット上に拡散していた人物がいる。それは、これまで数々の沖縄デマの発信源となってきた「ボギーてどこん」こと手登根 安則氏という人物だ。