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北九州一家監禁殺害事件“犯人夫婦の息子”の告白! 9歳の子どもを襲ったセーフティネットなき日本社会の冷酷

両親が逮捕されてからが“地獄の始まり”だった!

 幼くして異様な環境、体験を強いられた “息子”による衝撃的な数々の告白。だが、その告白から浮かび上がってきたのは、事件の異様さだけではない。それが両親の逮捕で“息子”が置かれた環境、そして日本社会の絶望的なまでの社会保障やセーフティネットのなさだ。番組では、両親の逮捕で、監禁や虐待から解放されたが、しかしそれは“地獄の始まりだった”と説明されている。

“息子”は両親の逮捕後、児童養護施設に送られる。はじめて通った小学校では事件のことを口にした同級生に暴力を振るうなど荒れる一面もあったというが、そこには“焦り”があったという。いずれは児童養護施設を出て自立しなくてはならない。実際、里親が見つかり、定時制高校に通いながらも、“息子”はアルバイトに精を出した。学費や携帯代を自分で捻出できると思ったからだ。

「自分で稼いだお金でするんやったら何も文句ないやろうと思って」

 ガソリンスタンドで週6回働いた。月に10 万円少しの収入になったが、しかし“息子”はこう吐露している。

「こんなに働いてもらえるお金がこれなんやんと思った」

 しかもバイト生活で学業もおろそかになり、里親の家も飛び出し、高校も中退に追い込まれた。そこから息子は、住み込みでパチンコや飲食店、農家の手伝いなどの仕事を転々とする。住み込みで飲食店、パチンコ屋、農家の手伝いと、転々する生活。しかも当てがわれた住まいも悲惨なものだった。ゴミ屋敷のようなアパート。電気も水もガスも通っていない。そのため食事もできない。息子は当時の心境をこう語っている。

「こんなしんどい思いをせないけんのかな、と。ホームレスと変わらんな。そうしたら涙が出てきて。こんな苦しい思いをして、なんで他のやつは当たり前に家があって、ご飯食って、あまり前に遊んで。なんで俺だけこんな思いして生きて行かないけんのかなって」
「結局そうやねって、親がおらんけよねってなるんですよ。僕の中で」

“親がいない”“保護者がいない”“住み家もない”学歴もない“。そんな未成年の子どもが、どう生きたらいいのか。例えば家を借りるのも、携帯を買うにも、仕事を得るにも「親や身内」の、またはなんらかの「保証人」が必要だ。

 児童福祉法では、親の育児放棄、虐待、経済的理由などさまざまな事情で家庭で暮らせない子どもたちに対して、国や地方公共団体が児童養護施設などで社会的に保護する義務を負っている。しかし児童養護施設は高校卒業時の18歳で退所しなければならない。高校を出たばかりの子どもが、なんの後ろ盾もなく、頼る大人も存在せず、また貧困の中、どう“まとも”に生活しろというのか。社会から漏れ落ちてしまうのは必然でもある。しかも児童養護施設そのものも、さまざまな問題も指摘される。少ない予算、人材不足、擁護職員の低い待遇——。

 そもそも、現在の日本は子どもの貧困が6人に1人という“貧困大国”でもある。しかし子どもの貧困、そして“息子”のように児童養護施設、そして乳児院や母子家庭などへの予算はたったの41億円。これは国際的に見ても非常に低い。実際2010年には「国連子どもの権利委員会」から日本政府に「養護のない児童を対象とする家族基盤型の代替的児童養護についての政策の不足」などの勧告を公式に受けたほどだ。にもかかわらず、現政権である安倍政権は、子どもの貧困を直視せず「家族の責任」や「自己責任」などという言葉すら持ち出している。また片山さつきのように貧困や生活保護をバッシングすることで、弱者をさらに貶め追い込もうとする動きすらある。

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