鶴保氏とA社代表のショートメールにも意味深なやりとりが…
しかも、鶴保氏側は業者側に2016年夏の参院選の応援まで要請していた。記事によると、A社代表は後援会長に「協力してほしい」と頼まれ、社員とともに鶴保氏の選挙運動に従事。関西千年会の食費代や地元有権者との宴席の飲食費も出し、また宿泊やユニフォームなどの費用はB社が負担したという。
赤旗日曜版の調査によれば、これらは鶴保氏の選挙運動費用収支報告書に記載されておらず、公職選挙法違反(買収)の可能性がある。また、関西千年会は政治団体として届出をしておらず、政治資金規正法違反の疑いが強い。そして決定的なのは、鶴保議員が沖縄担当相として、業者側に便宜をはかった事実だ。記事には、当選当日(16年7月10日)にA社代表と鶴保氏が携帯で行ったショートメールのやりとりが、画像付きで公開されている。
「先生、当選おめでとうございます。一緒に回らせていただきましたので、本当に感動しました。今後とも宜しくお願い致します」(A社代表)
「ありがとうございます!わかってます。今度は鹿児島で、かな」(鶴保氏)
「わかってます」とはいかにも意味深だが、A社代表は赤旗日曜版に対し「鶴保先生がついに動いてくれると期待しました」と語っている。はたして鶴保氏はこのメールのやり取りの翌月に沖縄担当相に就任、A社のある鹿児島を選挙区とする自民党の森山裕衆院議員を紹介した。森山議員は赤旗の取材に対し、鶴保氏から大臣時に電話で会ってくれと言われ業者らと面会したこと、また、そのとき鹿児島県内の石を沖縄に持って行くという話があったことを認めたという。
後援会会長が鶴保氏に渡す分の“面会料”として業者側から大金をとっていたことを踏まえれば、もしこれが鶴保氏に“裏金”として渡って「口利き」につながったとすると、公選法違反や政治資金規制法違反だけではすまされないのではないか。
繰り返すが、鶴保氏は沖縄政策を所管する大臣になって以降に、辺野古埋め立て関連事業への参入希望業者らに対して便宜を図っていたのだ。さらに深掘りしていけば、大臣権限を濫用した別の違法行為が浮上する可能性もあるだろう。鶴保氏の事務所は赤旗の取材に対して無回答だったというが、無責任にもほどがある。少なくとも、前沖縄担当相として国民の前で説明せねばならないのは言うまでもない。もちろん、任命した安倍首相の責任も重大だ。
ただでさえ、鶴保前沖縄担当相は誰の目にも明らかな問題大臣だった。たとえば大臣就任早々の会見では「沖縄の振興策と基地問題は確実にリンクしている」などと沖縄復興予算を減額するという趣旨の恫喝発言を行った。その後も、機動隊員が米軍基地反対派に対して放った「土人」発言について、国会で「私は“これは差別である”というふうには断定できません」と答弁し、沖縄差別を担当相の立場で擁護するなど、数々の舌禍事件を巻き起こしてきた。