自由民主党HPより
かつて、このような「トンズラ総理」がいただろうか。安倍首相は昨日、神奈川県の小田急線・新百合ヶ丘駅前で17時から街頭演説をおこなう予定だったが、土壇場でキャンセル。なのに、17時にはなんと4駅先の向ヶ丘遊園駅前に登場し、そこで演説をおこなったのだ。
このドタキャンによって、安倍首相の遊説が事前告知されていた新百合ヶ丘駅前は混乱。自民党関係者と思われる男性が「諸般の事情により、安倍総裁の演説は中止となりました。」と書かれた紙を持って集まった有権者に頭を下げる事態に。だが、ここで演説をおこなう場所が向ヶ丘遊園駅前に変更されたことは告知されなかったという。
なぜ、安倍首相は演説先を急に変更したのか。その背景について、毎日新聞はこのように報じている。
〈場所変更のきっかけは、地元の自民前職の事務所が、新百合ケ丘駅への首相来援をホームページで告知してしまったこと。告知を受けてツイッターに「行ってヤジりたい」などの書き込みがあった。
前職の事務所関係者は「首相に批判的な方々が来る情報があり、安全に演説できるか懸念があった。首相の警備のため、最後まで場所変更を(新百合ケ丘駅の聴衆に)伝えられなかった」と明かす〉
つまり、「批判を受けたくない」「ヤジられたくない」その一点で、いきなり安倍首相はそそくさと遁走してしまったのだ。
そもそも「ホームページで告知してしまった」ってうっかりミスみたいな扱いになっているが、演説をより広く多くの人にきいてもらうために告知するのは当たり前のことだろう。一国の首相ができるだけ人に知られないように演説するって、それ、いったい誰のためのなんのための演説なのか。
このトンズラ劇の背景には、前日のこともあったのだろう。4日、安倍首相は茨城県の水戸駅前で遊説をおこなったが、「この国難を国民のみなさまの信任を得て……」と話すと、聴衆からは「お前が国難だ!」というヤジがあがったのだ。
選挙の街頭演説で時の総理大臣がヤジを受けることは、けっしてめずらしい光景ではない。いかに国民からの「怒り」を受け止めるか。街頭演説はそうした場でもある。にもかかわらず、安倍首相は都議選の応援演説で「安倍やめろ!」コールを受けて、あろうことか批判する国民を指差し「こんな人たちに負けるわけにはいかないんです!」と逆ギレ。そして、今回の選挙では、街頭での批判を恐れて直前まで遊説先を告知しないという手に出たのだ。