公式Twitterアカウントより
アメリカのバージニア州で、白人至上主義者グループとそれに抗議する人々が衝突、30人以上の死傷者が出た事件をめぐって、トランプ大統領は15日、記者会見で「両者に非がある」などと発言。また「オルト・レフト」なる造語まで用い、“極左思想主義者たちが白人至上主義者たちに突撃した”などと主張している。
「じゃあ、オルト・ライトに(中略)突撃していったオルト・レフトはどうなんだ? あいつらに罪悪感のかけらもあるか? 手にこん棒を持って(中略)突撃してきたのはどうなんだ?」(BBCより)
トランプは事件発生後の発言でも白人至上主義グループを明確に批判せず、世論から大反発をあびたが、差別主義者と差別を許さない人々を同列に置いたこの発言で、政権は致命的なほどのダメージを受けている。前大統領のオバマはもちろん、ブッシュ親子も連名で「アメリカは常に人種差別を拒絶せねばならない」と声明を出し、与党・共和党からも「国民を分断している」などとの批判が相次いだ。さらに、大統領に助言する評議会のメンバーも、この間のトランプの言動に抗議するかたちでこれまでに3名が辞任、また陸海空海兵隊の制服組トップがそろって批判するコメントを出すなど異例の状況だ。
現在、アメリカ各地でトランプ大統領に抗議するデモや集会が行われ、“トランプ政権最大の危機”と言われるほど全米を大きく揺るがしているが、こうした社会の反応は当然だろう。
そもそも事件の発端は、白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)やネオナチ、そして「オルト・ライト」(=人種差別主義の極右)ら数百人が「米国を白人の手に取り戻せ」などと訴える集会に対し、人種差別と過激主義に抗議する人々が駆けつけたこと。さらに、白人至上主義側の男が車で抗議側に突入し、多数の死傷者が出る事態となった。にもかかわらず、トランプは“どっちもどっち”という言い方で差別する側を擁護し、差別に抗議する側を批判したのだ。ありえないとしか言いようがない。
だが、今回のトランプの差別主義肯定発言から学べるのは、実は、トランプが批判されているグロテスクな“どっちもどっち論”が、日本社会ではスタンダードになってしまっているということだ。