告示日、3選を狙う林文子氏(撮影・横田一)
菅義偉官房長官(神奈川二区)が安倍晋三首相と一緒に推進するカジノ誘致が、横浜市長選(7月16日告示・30日投開票)を直撃、菅直系の林文子市長(71)3選の逆風になりつつある。横浜は、「日本維新の会」の本拠地・大阪と並ぶ有力なカジノ候補地だが、都議選で自民党の歴史的惨敗の一因となった加計問題と同様、「安倍首相の“お仲間”への利益誘導」と見なされて横浜市民の猛反発を受ける可能性があるためだ。
7月16日13時、桜木町駅前で「カジノよりも中学校給食を」と訴える前・横浜市議の伊藤ひろたか候補が第一声をあげた。街宣車には市民団体と野党国会議員の垂れ幕がずらりと並び、候補者や応援弁士が「カジノ反対」と叫ぶたびに歓声と拍手が沸き起こる。市民参加型の野党共闘が実現した昨年夏の参院選と同じような光景と高揚感が再び出現するなか、二人の国会議員がカジノ誘致と加計問題を重ね合わせた。
民進党の真山勇一参院議員(神奈川選挙区)が「なぜ違法のカジノが(横浜に)できるのか。それは『国家戦略特区にして違法なことでも違法でなくしてやってしまおう』と政府は考え、一体となってやっているのが横浜市」と切り出すと、江田憲司代表代行(神奈川8区)も次のように一刀両断したのだ。
「カジノは賭博、バクチです。依存症患者が続出、治安も風紀も乱れ、子どもの教育上も極めて悪い。なぜ、こんなカジノを林市長と自民党は誘致しようとするのでしょうか。それは、森友、加計問題で見られるように、ギャンブル場を誘致すれば、(候補地の)この山下埠頭に大きなお金が落ちる。その利権を漁ろうとしている政治家にレッドカードを突きつけるのが、この横浜市長選ではありませんか!」
実際、横浜へのカジノ誘致関連予算は約1000億円にも及ぶ。その内訳は、山下埠頭の倉庫移転補償費などの候補地基盤整備に約500億円、交通アクセス向上のための「海底トンネル」(新港埠頭から山下埠頭の1.5キロ)に約300億円、そしてLRT(次世代型路面電車システム)などの「新交通システム」に約200億円である。カジノを含むIR誘致には広大な用地確保と良好な交通アクセスが不可欠で、巨額のインフラ整備費が必要になる。