菅官房長官が口にした安倍首相の逆ギレ政策実行の理由
繰り返すが、獣医学部の全国展開宣言は正気の沙汰ではない。これまで加計学園にかんして指摘されつづけてきたのは、「獣医師は総数としては不足していない」「不足しているのは産業獣医師であって学部新設よりも待遇改善が先決」「そもそも加計学園は石破4条件をクリアしていない」「なぜ京都産業大学を排除する条件が加えられていったのか」という問題だ。
そこに「総理のご意向」文書の存在や今治市が公開した資料、前川喜平・前文部科学事務次官や現役文科官僚たちの証言によって「加計学園ありき」という疑惑は深まり、さらに現在は萩生田光一官房副長官の直接指示を示すメールや発言録まで飛び出し、もはや安倍官邸の主導が決定的になった。
普通ならば、国民の疑念を払拭するために再三口にしてきた「丁寧に説明」とやらを実行すべきだが、安倍首相は子ども並みの癇癪を起こし、その逆ギレを菅官房長官は“実行の余地あり”などと言い出したのである。
あれだけ「四国に獣医学部がないから」と説明してきたのに、総理の逆ギレに付き合い、今度は「獣医学部は応募倍率が高いから」という理由で門戸を開くと言う……。しかも、菅官房長官は需給バランスだけではなく、石破4条件を加計学園がクリアしていないという批判も完全に無視し、獣医学部新設の全国展開では「4条件に照らして整合的かどうか検討することになる」などともっともらしく発言したのだから、開いた口が塞がらない。
だが、このことで浮き彫りになったのは、もはや安倍首相の暴走を誰も止められなくなっているという事実だ。
たしかに、安倍首相はこれまでも同じような逆ギレや開き直りを繰り返してきた。また、批判や厳しい追及を受けない支持者が集まるイベントや御用メディアでは、独裁者丸出しのスローガンとひとりよがりの一方的な政策をまくし立てるということも少なくなかった。
しかし、そのたびに菅官房長官ら官邸幹部がフォローしたり、あえて無視したり、メディアを恫喝して黙らせたりして、大きな問題になるのを防いできた。それが、今回、安倍首相のバカ丸出し発言に丸乗り、混乱と騒動をさらに大きくするような発言をおこなったことについて、全国紙の官邸担当記者は「安倍首相と菅官房長官ら官邸スタッフとの連携プレーが破綻し、場当たり的になっていることの証明」だと解説する。