共謀罪成立で一般市民も盗聴や通信傍受等の「捜査」対象に
警察官僚を重宝する安倍官邸がそのルートを使って役人を監視し、不満を持っている者たちをあぶり出しているとなると、それはもはや恐怖支配という他にない。まして、公僕の立場からしばし解放される私的な時間でさえ見張られ、愚痴をこぼしただけで首が飛ぶとなれば、事務方に「忖度」の風が吹きすさぶのも当然だろう。
そして言うまでもなく、誰が“反乱分子”かは、監視活動によって初めてわかる。政府による役人の私的領域の把握は、想像よりも広く実施されていると考えたほうがいい。
しかも、これは何も役人だけに限った問題ではない。たとえば、共謀罪法案が成立すれば、一般市民に対する警察当局の監視活動にお墨付きを与えることになる。準備段階以前の「共謀」を検挙するためには、盗聴や通信傍受等の「捜査」が不可欠であるためだ。
実際、安倍政権は昨年に通信傍受法(盗聴法)を改正・施行し、法的な監視権限を強化した。そもそも盗聴法改正に加え、特定秘密保護法と共謀罪は、警察官僚(とりわけ公安関係者)らが以前から成立を熱望していたと言われているが、こうした捜査権限の底なしの拡大を許した先にあるのは、市民のプライバシーが政府に筒抜けとなる監視社会に他ならない。
そう考えてみても、今回の更迭された森本総領事の一件は、たんに官邸による人事権の濫用を問題視するだけは不十分だろう。ひとりの人間の私的な言動を、権力が秘密警察さながらにチェックしている。そのおそるべき事実を、わたしたちは重く受け止めるべきだ。
共謀罪が成立すれば、あなたが友人と語り合ったレストランでの会話も、ホテルでの恋人とのやりとりも、すべてが筒抜けになるかもしれない。最後まで徹底的に声をあげ、廃案に持っていく必要がある。
(編集部)
最終更新:2017.12.04 03:53