よくもまあ、こんなデタラメを平気で口にできたものだ。周知の通り、山口氏は『総理』(幻冬舎)という“安倍ヨイショ本”で脚光を浴びたが、その発売日は昨年6月9日。また同日発売の「週刊文春」(文藝春秋)でも「TBSエース記者独立第一弾!」として安倍官邸についての集中連載をスタートさせている。不起訴処分の昨年7月22日よりも1カ月以上前の話であり、つまり、“不起訴を受けて本格的な記者活動を始めた”などという説明からして真っ赤な嘘なのだ。
また、続く“不服申し立てをするならすぐにやったはず”との言い分にいたっては、悪辣な印象操作と言うほかない。
検察審査会への不服申し立てに時間がかかったことについては、ホテルの防犯カメラやDNA鑑定、タクシー運転手やベルボーイなどの証言等の証拠申請の準備が必要だったからだと詩織さん自身がきちんと説明している。
また、詩織さんは「週刊新潮」の記事が出る前々から、警察・検察の判断に疑問をもち、告発の動きを見せていた。実際、当の山口氏じたいが「週刊新潮」に書かれる直前のFBで、〈当該人物側がこの話をスキャンダルとして各種メディアに売り込もうとしていたことは察知していました〉と投稿し、予防線を張っていた。
性犯罪を被害者自らが告発することのリスクや覚悟を完全にネグり、これを「売り込み」などと表現することじたいが、完全にセカンドレイプだが、いずれにしても、準強姦疑惑報道が山口氏のメディア露出以降になったのは、手続きや媒体側の都合であって、詩織さんの意思とは関係がない。
山口氏はそれを知っていながら、まるで自分が売れっ子になったから「売名」目的で告発したかのような印象操作、デタラメをふりまいたのだ。
このように、山口氏の言い分は「反論」になっていないばかりか、さらに詩織さんの尊厳を傷つけるまさにセカンドレイプとしか言いようのないものだ。