安倍首相と萩生田官房副長官は「総理ではなく総裁の発言」と詭弁
さらに、安倍首相への批判は自民党内部からも起こっている。憲法審査会メンバーで自民党憲法改正推進本部長代行である船田元衆院議員は、8日に自身のメールマガジンで安倍首相の“独断行為”について、〈内容以上に厳しいのは、この時期に総理が踏み込んだ改憲発言をしたこと自体だ〉〈深く改憲議論に関わってきた我々としては、第一義的には憲法制定権力を有する、国民を代表する国会が発議すべきものというのが常識だ〉〈行政の長たる総理大臣には、もう少し慎重であっていただきたかったというのが本音である〉と非難。〈この発言は国会での議論の行く末や期間を、行政の長が規定することにつながりかね〉ないと、安倍首相に苦言を呈している。
船田議員は〈国会の3分の2の勢力だけでどんどん進められるものではな〉いと述べるが、こんなことは民主主義に則った手続きを考えれば当たり前の指摘だ。だが、こうした当然の批判をかわすために、安倍首相の側近である萩生田光一官房副長官は7日に出演した『新報道2001』(フジテレビ)で、安倍首相の新憲法施行発言を「憲法審査会がなかなか動かないなかで一石を投じたというのが正直なところ」と責任転嫁。「あくまでも自民党総裁としての個人的提案」などと言い出した。
つまり、「新憲法施行に言及したのは総理としてではなく自民党総裁としてだから問題はない」と、逃げ道をつくりはじめたのだ。
それはもちろん、萩生田官房副長官の親分たる安倍首相本人も同じだ。昨日の衆院予算委では、白々しくも「この場に立っているのは自民党総裁としてではない」「ここで党総裁としての考えを述べるべきではないというのが私の考え方だ」と言い張って2020年新憲法施行発言をはぐらかし、「どうぞ憲法審査会で活発な議論をされたらどうか」と発言者としての責任を案の定、放り出してしまった。