だいたい今回の事故は、機体がコントロール不能に陥った末の事故だというだけでなく「オスプレイの構造上の欠陥」だという指摘がなされている。
実際、国防研究所の元オスプレイ主任分析官であるレックス・リボロ氏は、琉球新報の取材に対し、「航空機が制御できていた場合、機体の損傷を引き起こさずに水面に着陸できただろう。機体が激しい損傷を受けた事実はその航空機が制御不能であり、航空機を破壊するに十分な力で水面にぶつかったことを示唆している」と回答。空中給油をおこなうなかで起こった事故である点も、「回転翼モードで補給することができない事実は、予期されなかった航空機の欠陥である」とした。
つまり、このオスプレイのスペシャリストは、今回の事故は〈オスプレイの新たな構造的欠陥〉によって起こったのではないかと指摘しているのだ。
だが、既報の通り、日米地位協定の壁に阻まれ、墜落した米軍機の正確な情報を日本側が把握することは事実上不可能であり、事故原因の真相が公にされるかも疑わしい。
しかも、日本メディアは米軍によってあきらかに“不平等”ななかでの取材を余儀なくされる。2004年の沖縄国際大学にヘリが墜落した事件では、米軍が現場を封鎖し、記者はもちろん警察も大学関係者も立ち入ることが許されなかったが、ピザの配達員だけは現場への入場を許されたという象徴的なエピソードがある。この事件をきっかけに事故時のガイドラインがまとめられ、事故現場に近いエリアは日米共同で規制することとなったが、しかし、今回のオスプレイ墜落事故ではそれがまったく無視され、日本側が規制を担うエリアでも米軍側から記者たちが締め出された。
警察も機能しない、マスコミも取材が規制される。そして何より、基地ありきの政府が米軍にすり寄って事故原因を“隠蔽”する可能性は極めて高い。
オスプレイの欠陥は覆い隠され、危険機種が上空を飛び回るという恐怖の日常が、沖縄に戻ってしまった。オスプレイの飛行再開容認は、安倍政権が「沖縄は治外法権の植民地」と言っているに等しいものだが、しかし、これは沖縄だけの問題ではない。オスプレイは来年1月から千葉県木更津駐屯地が定期整備拠点になる予定で、東京都の横田基地でもオスプレイ配備が予定されているからだ。
欠陥機種の飛行さえ止めようとせず、私たちの生活と命の安全を米軍に売り渡した安倍政権。まったくもって許しがたい蛮行だが、ともかくいまはオスプレイの飛行禁止を訴えなくてはならない。再びの事故が起こってからでは、もう遅いのだ。
(編集部)
最終更新:2017.11.12 03:15