漆間氏は、第1次安倍政権発足後も安倍に乞われて警察庁長官として居座った。安倍政権の下で漆間氏は「北朝鮮への圧力を担うのが警察の役割」などと公言し、朝鮮総連関連など「北朝鮮が嫌がる捜査」に血道をあげた。『日本の公安警察』(講談社現代新書)の著書があるジャーナリストの青木理氏は一連の漆間氏の振る舞いを、かつての特高警察を彷彿とさせる“政治警察宣言”にも等しいと喝破している。
そして、安倍もこの時、警察を使って政治を動かす不健全な権力運営に目覚めたのではないか。事実、これ以降、政敵や野党幹部のスキャンダルを内閣情報調査室や公安警察を使ってかき集め、メディアにリークするというのが、政権の常套手段となった。最近では、民進党代表選で浮上した蓮舫議員の二重国籍問題なども内調のリークだといわれている。
いずれにせよ、安倍政権にとっての警察は国民の命と安全を守る組織ではなく、国民を監視・支配するための道具なのだ。
そう考えると、今回の宮内庁人事もその一環、とみたほうがいいかもしれない。安倍政権に逆らう者をひとくくりに「敵」とみなし公安警察を使って監視する、その対象を天皇周辺にまで広げたということではないか。
これは決してオーバーな話ではない。安倍はおそらく、憲法遵守の姿勢を鮮明にする天皇を、自分の野望を阻む最大の「敵」だと考えているはずだ。これから先、天皇は生前退位にとどまらず、公安警察出身の新しい宮内庁次長によってあらゆる民主主義的な発言を封印されてしまうことになるかもしれない。
(エンジョウトオル)
最終更新:2017.11.24 07:11