これは、「しんぶん赤旗」が先月14日にスクープしたものだ。稲田氏の政治資金管理団体「ともみ組」の領収書のなかに金額、宛名、年月日が同じ筆跡の領収書が大量に存在していることが発覚。これは、自民党議員らの政治資金パーティに参加した際に、金額や日付などが未記入の領収書を得て、稲田氏側が自分で書き込んでいたものだった。「赤旗」の調べでは、この白紙領収書は2012〜14年の3年間で計260枚、約520万円にのぼるという。
繰り返すが、領収書に自分で勝手に金額等を書きこむ行為は文書偽造にあたり、刑事罰の対象となる。また、富山議会自民党会派のように、領収書を偽造することで架空のカネをでっちあげ、不正受給や横領をまねく危険のある極めて悪質な行為だ。
しかも、自民党ではこの“白紙領収書”が常態化していた。「赤旗」を後追いした「フライデー」(講談社)9月9日号には、自民党ベテラン代議士秘書が「白紙の領収書を渡すのは永田町では“常識”です」と証言している。さらに、「赤旗日曜版」9月4日付のスクープ第2弾によれば、稲田氏側へ白紙領収書を発行した自民党議員は、現内閣だけでも、高市早苗総務相や加藤信勝一億総活躍相、丸川珠代五輪相ら現役閣僚10人のほか、副大臣や副官房長官なども加えて30人にのぼるという。
つまり、地方議会だけでなく国政の場でも、自民党では組織ぐるみの“白紙領収書”が乱れ飛んでいたのだ。もちろん、資金パーティへの参加費などには、血税である政党交付金が混ざっているとみられ、これまでに横行してきた“白紙領収書”を利用することで、国民の税金の私的着服や裏金作りが行われた可能性もある。よしんば正確な金額を書き込んでいたとしても、白紙領収書を受け取って自分たちで記入すれば公的証明となりえないし、非課税の政治資金で不透明なカネの流れをつくっていること自体は変わらない。国民への裏切り行為であり、決して看過できない重大な問題だ。
ところがマスコミは、同じく白紙領収書による犯罪が発覚した富山市議会自民党会派については、威勢よく追及するくせに、稲田氏ら安倍内閣の重大疑惑は完全に“知らぬ存ぜぬ”を決め込んでいる。
たとえば前述の『とくダネ!』で小倉は、「怪しいと思われたその時点でアウトだよね、この手のものは」と笑いながら吐き捨てていたが、安倍政権の“白紙領収書”疑惑を1秒たりとも取り上げないし、「じゃあ、国会議員はどうなのか」という当たり前のコメントすら一言も出さない。あえて問題を拡大させないように努めるかのごとくだ。