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蓮舫「二重国籍」報道はグロテスクな純血主義にもとづく差別攻撃だ! さらにはガセの可能性も浮上

■アゴラ・産経はネットの重国籍者虐殺ヘイトスピーチと同根

 ところが、「アゴラ」や産経新聞はひたすらこの「二重国籍」疑惑を煽り、“アンチ民進党”のネット右翼たちに火をつけ、ツイッターではいま、蓮舫氏だけではなく重国籍者全体まで標的とするこんな恫喝や虐殺扇動が溢れかえっているのだ。

〈なりすましエセ日本人め。日本から出て行け〉〈支那に帰れ!日本人の振りして図々しいチャイナ女〉〈スパイ蓮舫ははやく親元の中国共産党に帰って死刑されろよ〉〈スパイとして射殺出来るように法整備した方がいいよ〉〈逮捕して国籍剥奪して、スパイとして殺処分を希望します〉

 いったい何を言っているのだろう。国籍を根拠に「殺せ」などと煽りたてるのはヘイトスピーチ、ヘイトクライムにほかならないし、当たり前だが「スパイ」に国籍は関係ない。しかも連中は重国籍の法的位置づけを問題視しているのではなく、明らかに“日本人ではない”とレッテル貼りをして狂気の雄叫びをあげているのだ。このネトウヨ思想の背景にあるのは、推定68万人いると言われる重国籍者(朝日新聞14年7月6日付)や日本で暮らす非日本国籍者に対する排除の眼差しだ。それは同時に「日本国籍者は国家に忠誠を誓わなければならない」という時代錯誤の国家観を意味する。

 しかも、これはなにもファナティックなネトウヨだけの話ではない。こうしたグロテスクな純血主義、差別主義は「アゴラ」や産経新聞にも通底している。たとえば前述の八幡氏は国籍とは無関係に、蓮舫氏をこう攻撃しているのだ。

〈村田蓮舫という本名があるのに、頑として村田姓を使わないし、子供にも中国人らしい名前しか付けなかった華人意識のかたまりである〉(「アゴラ」8月29日付)
〈もちろん、違法な二重国籍だったことがないとしても、蓮舫さんには、村田蓮舫という本名を使われないとか、日本文化に対する愛着を示されていないとか、尖閣について領土問題と表現されたように、日中間の国際問題についての見解などに問題があることに変化はない〉(同9月5日付)
〈どの国でも、生まれながらの国民でない人物を、政府のトップにするような物好きな国民はめったにない〉(「ZAKZAK」8月30日付)

 結局、「アゴラ」や産経新聞は「二重国籍」疑惑を特ダネ扱いして鬼の首をとったかのように騒ぎ立てているが、その根っこにあるのは純血思想と排外主義、差別主義であることがよくわかる。とりわけ、蓮舫氏の子どもまで「中国人らしい名前」などと標的にし、「華人意識のかたまり」とレッテル貼りをするのは、どう考えても異常だ。日本国籍を取得していたとしても、自分のルーツに想いをはせて子どもの名前をつけることはちっともおかしいことではないし、日本人の中にも大陸由来の名前をつけるケースは決して少なくない。だいたい、政治家や企業経営者などは孔子の論語の一節をことあるごとに引用するが、八幡氏に言わせればそれも「華人意識のかたまり」になるとでもいうのか。

 また産経新聞は9月7日付で、インタビューで「二重国籍」を否定した蓮舫氏に対し、〈ただ、蓮舫氏の国籍手続きを行った父親は台湾籍を離脱していないことも明らかにし、「二重国籍」疑惑はさらに深まっている〉などと書いている。しかし、いうまでもなく父親が台湾籍を離脱するか否かは蓮舫氏の国籍選択とはまったく無関係だ。つまり産経は“蓮舫の父親は日本人じゃないから蓮舫も日本人じゃない”と言っているのである。これは完全に“ハーフ”に対する差別である。

 つまるところ、こういうことだろう。「アゴラ」や産経新聞にとって、蓮舫氏の国籍法上の疑惑追及は建前で、結局、父系血統主義というイデオロギーをばらまき、血統による差別を正当化しようとしているにすぎない。はっきり言って、「エセ日本人を殺せ」などと叫んでいるネトウヨと大差ないのだ。

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