こうしたネトサポの問題は本サイトでも何度か取り上げてきたが、周知の通り、J-NSC会員の多くがネット上で韓国や中国への悪罵を連ねるネトウヨだ。実際、ツイッターのプロフィールをサーチできるウェブサービス「ツイプロ」で「J-NSC」を検索してみると、その会員を自称するアカウントのプロフィール欄には以下のような文言を確認できた。
「日韓断交希望!嫌韓嫌中」「今、日本は売国奴の手によって切り売りされようとしています」「保守支持!日本大好き、韓流嫌い!」「特亜、マスゴミ、放射脳、地球市民、反日似非日本人は大嫌い」「ネトウヨ上等! 国士上等!!」
ようするに自民党はこうしたヘイトスピーチを繰り返すネトウヨを組織して他党のバッシングを展開してきたわけだが、そもそも自民党には、NTTあがりの世耕弘成官房副長官や電通出身の平井卓也ネットメディア局長などを中心に、メディアを使って世論を誘導するなど、選挙で有利な状況を作り出すためのコミ戦(コミュニケーション戦略)部隊が存在する。J-NSCもその一環だ。
なかでも注目すべきは、ネット選挙が解禁された13年参院選前に発足したネット対策特別チーム、平井ネット局長率いる「Truth Team(T2)」だ。その主な業務は、専門の業者に委託するかたちでツイッターやブログの書き込みなどを24間監視し、自民党に不利な情報があれば管理人に削除要請をすること。他にもスキャンダルなどネガティブな情報が検索エンジンに引っかかりにくくさせるための「逆SEO(検索エンジン最適化)」まで行っている。
そして、このT2が誕生したときに自民党の広報本部長を務めていたのが、何を隠そう小池百合子氏なのだ。しかも小池氏は、10年にはJ-NSCの設立総会で「相談役」に就任していた。つまり自民党のなかで、専門的なネット対策チームで指揮をとる平井ネット局長などの“上司”にあたる小池氏は、ネトサポ誕生時からその監督責任者の立場にあったわけである。なお小池氏は、2013年参院選前、前述したネット工作についてNHKの取材にこう答えている。
「選挙中にですね、この候補者おかしいとかなんか言われるとですね、それは、大変なダメージになるわけですね」
小池氏は“ネットで悪口を言われてはたまらないので取り締まってるんですよ”とのたまっているが、自民党がネトウヨを組織化してライバルのバッシングを展開してきたのはれっきとした事実だ。これは完全にブーメランというやつだろう。