左・自由民主党HPより/右・日本経営開発協会HPより
「わが党の案をベースにしながら(衆参各院の)3分の2を構築していく。それがまさに政治の技術だ」
安倍首相は昨日に行われた記者会見で、このように自民党の憲法改正草案をもとにして改憲議論を進めていくことを明言した。選挙中の街頭演説ではただの一度も憲法改正のケの字も出さなかったくせに、選挙が終わるとこの態度。しかも、あくまであの国民の人権を制限する明治憲法とそっくりの自民党草案をベースにするというのだ。安倍首相の言う「政治の技術」というのは、つまるところ“国民を騙す技術”という意味なのだろう。
しかも、安倍首相と同調して選挙中に憲法改正が争点であることを隠してきた“御用ジャーナリスト”が、さっそく憲法改正に向けて動き出している。
それは、昨日11日に放送された『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)でのこと。改憲勢力が3分の2以上の議席を確保したことを受けて、ゲストとして登場した田崎史郎時事通信社特別解説委員が、「(憲法改正は)やる必要がある項目はあるんですね」と言い、安倍首相が改憲の入口として言及してきた「緊急事態条項」を猛プッシュしはじめたのだ。
「緊急事態(条項)ということがありまして、東日本大震災が起こりましたよね? あのとき、4月に統一地方選を控えていて、で、選挙できなくなったわけですね。青森とか岩手とか宮城とか。それで、国会で法律をつくって、4月にやらなくていいと、議員の任期を延長して2カ月から6カ月ずらしてもいいということを決めたんです。で、これが、衆議院解散のあとに、あのような大震災が起こったらどうするのか、ということなんです。で、国会議員の場合、規定がないんですよ、まったく」
「そういうこと(自然災害など)に備えて、衆議院議員の任期を延長することもできるという規定を、これ、憲法でつくるほかないんですよ。法律じゃできないんですよ、これ。はい」
──自然災害時に備えて、国会議員の任期延長を規定する緊急事態条項を設けるべき。そう田崎氏は主張したのだ。
だが、それは大きな間違いだ。たとえば衆院が解散していても、緊急時には内閣は参院の緊急集会を求めることができ、緊急集会が国会の代わりを果たすことができる。このことにより予算や法律の対応も可能になるのだ。