左・安倍晋三公式サイト/右・右・フジテレビ『 ワイドナショー』番組ページより
「いや、あの状況のなかでオンエアしたほうが、僕はフジテレビに激怒しますよ。やるわけがない!」
松本人志がこう声を震わせたのは、昨日4月24日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)でのこと。この日の放送では「熊本地震とテレビ番組の自粛」がテーマになったのだが、松本は「『急に放送を取りやめたことで、松本が激怒して番組辞めるとか言い出すんじゃないか』みたいなニュースになってて」と怒ってみせ、「バラエティをやってはいけないとは思わないけれども、内容と番組次第だわな」などと尤もらしく解説。冒頭のように、『ワイドナショー』中止も当然だったと言い始めたのだ。
いや、ちょっと待ってくれ。そもそも、『ワイドナショー』はバラエティなのか。日頃、ニュースや社会問題を扱って芸能人が論評すると謳い、偉そうに報道批判を語っているんじゃないのか。そのくせに、震災となったら対応しないのが“当たり前”みたいに言うのは、あまりにもご都合主義がすぎるだろう。しかも、松本は番組中止の理由を、さも大地震に際した「自粛」であるかのごとくサラリと流したが、これは明らかなスリカエだ。
というのも、本サイトで既報のとおり、中止になった17日分の『ワイドナショー』には、安倍首相が出演していたからだ。安倍首相が同番組の収録に参加したのは14日夕方。その後、同日21時26分頃に最初の大きな揺れが起こり、16日未明にはマグニチュード7.3の「本震」が発生。これを受けてフジは17日の放送見送りを決定した。
「14日に収録した内容は、松本さんやMCの東野幸治さん、指原莉乃さんや古市憲寿さんらコメンテーターとのフリートークに安倍首相が参加するというもの。話題に上がったのは首相主催の『桜を見る会』などについてで、現場は終始、笑いが絶えない和やかなムードだったと聞きました。出演者が安倍さんの考えや政局的な話に鋭く突っ込むことはなかったようですね」(テレビ局関係者)
震災被害が広がるなか、安倍首相が芸能人と一緒に頬を緩める姿をテレビで流すわけにはいかないから、官邸からフジに出演部分のカットの申し入れがあったのは、ほぼ間違いない。するともちろん、安倍首相なしでは番組は成立しないので必然的に放送中止になる。