「週刊新潮」(新潮社)2016年1月28日号より
先日、発売された月刊誌「文藝春秋」(文藝春秋)が、この間のSMAP解散騒動を検証する記事を掲載して、出版界でちょっとした話題になっている。たしかに、伝統と権威を重んじる国民的雑誌までがこの問題を取り上げる(しかも芥川賞の発表と同じ号で)というのは、SMAPというアイドルグループの存在感の大きさを改めて証明したといえるだろう。
しかし、「文藝春秋」の記事が興味深かったのは、それだけではない。今回の騒動では、ワイドショー、スポーツ紙、週刊誌など、ほとんどのメディアがジャニーズ事務所とメリー喜多川社長側にたって、独立に動いた飯島三智マネージャーと中居正広ら4人を非難していた。ジャニーズの影響力が及ばない「週刊文春」(文藝春秋)「週刊新潮」(新潮社)などもジャニーズ幹部の言い分を掲載した。
ジャニーズ本体とメリー喜多川社長の責任を追及し、木村拓哉こそが裏切り者だと書いたのは、リテラをはじめ、ごく少数のメディアにかぎられていた、
そんな中、この「文藝春秋」は「SMAPを壊した独裁者メリー」と題して、騒動の原因がメリー喜多川氏にあると指摘。「本来ならばSMAPメンバーよりも、代表であるジャニー社長とメリー副社長が公開謝罪するのが社会通念上筋」とまで書いているのだ。
同記事を書いたのは、「週刊文春」の元記者・中村竜太郎氏。中村氏は「週刊文春」時代、ASKA の覚せい剤中毒や高倉健の養女の存在をすっぱ抜いたことで知られているベテラン芸能記者で、ジャニーズ取材も、ジャニー喜多川社長の「ホモセクハラ報道」以降、長くかかわってきた。
中村氏は今回、その取材経験を生かして、解散危機騒動の裏側にあったジャニーズ事務所内部の暗闘をあらためて総括。メリー氏が娘・藤島ジュリー景子副社長や孫に執着したあげく、飯島マネージャーを敵視。その恫喝によって、独立せざるを得ない状態に追い込んでいったと、断じている。
完全にジャニーズに支配されているマスコミの中にも、こういう視点をもった記者にいることにほっとしたが、この記事でもうひとつ注目したいのは、中村氏が「文春」記者時代、メリー氏に直接、呼び出され、恫喝された事実を明かしていたことだ。