まず「週刊朝日」は同年12月9日号、続く16日号で、バンダイ創業者の長男で、社長、会長を歴任した山科誠氏が、財団の財産を私的に流用していた問題をスクープしたのだが、そこで山科誠元会長が甘利氏と昵懇の仲だったと指摘した。甘利氏が現在でも代表を務めている自民党神奈川県第13選挙区支部への献金も頻繁で、06年には年間200万円にも及んだという。
だが、ここで興味深いのは、甘利氏が、なんとも姑息すぎる手段を使って、この御曹司から“甘い汁”を吸い上げていたという疑惑だ。「週刊朝日」によれば、山科元会長と甘利氏との間には、美術品の取引もあったという。記事では、山科氏が代表を務める山科ホールディングスの関係者がこんな証言をしている。
「5、6年ほど前でしょうか。甘利さんが美術品を3点持って事務所を訪ねてきたそうです。『買ってくれないか』と言われ、山科さんはまとめて1500万円で購入したと言ってました」
ところが、2010年に山科元会長がそれらの美術品を鑑定に出したところ、実に3点でたった100万円ぽっちの評価しかされなかったというのだ。このとき「週刊朝日」の取材に対し、甘利事務所は「売買は契約書を交わし適正に行われ、税務上の申告も適正に行っています」と回答しているが、100万円相当の品を15倍の金額で売りつけるとは……。
実は、このバンダイの御曹司との問題は、一時、東京地検特捜部も関心をもって内偵していた時期があるという。
「この美術品売りつけについても、第一次安倍政権の経産相時代に口利きしてもらった見返りだったという話があり、特捜部が内偵したんですが、なぜか事件化を見送ってしまった」(司法担当記者)
安倍首相は甘利氏のこういう体質を知っていながら、第二次政権でも甘利氏を経済財政政策の特命大臣にすえ、重用してきたのだ。
甘利氏の即時の大臣辞任、あるいは議員辞職は当然だが、安倍首相の任命責任も厳しく問われなければならない。
(宮島みつや)
最終更新:2016.01.21 05:48