これまで本サイトでも明らかにしてきたような、フランチャイズシステムを利用したオーナー経営者への過重負担、ノルマに追われるブラックバイト……セブンイレブンはやはりブラック企業なのか。
「鈴木さんは、日本のセブンイレブンをフランチャイズだと呼んでいますが、フランチャイズなどではありませんよ。鈴木さんの経営は労働搾取工場制度です。この意味、わかりますか? 人々を奴隷のように働かされているんですよ」
セブンイレブンの親会社である株式会社セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・鈴木敏文氏の作りだしたフランチャイズシステムをこう批判していたのは、ハシム・サイード氏。米国セブン加盟店協会シカゴ代表だ(「週刊金曜日」2014年5月30日号「セブン‐イレブン“鈴木帝国”の落日 連載第6回『鈴木商法と戦うためにやって来た!』」)。
ハシム・サイード代表もフランチャイズの本場米国でセブンイレブン経営を25年やっているオーナー(フランチャイジー)経営者だ。ハシム・サイード代表は昨年4月、「日本流の契約を強制され、独立事業者の地位が脅かされつつある」と初来日。日本の実情を知るにつれて、鈴木会長の作りだしたフランチャイズシステムが労働搾取工場制度だと告発しているのだ。
「週刊金曜日」でハシム氏が語ったところによれば、米国で日本のセブンイレブン支配が露骨になってきたのは、2005年からだ。
「90年代は独立した事業者として権利が認められ、仕事にやりがいがありました。だけど、2005年からチャージ率(指導料)の引き上げや仕入れ先の制限という日本流のやり方にするとの提案を聞いたとき、『これは加盟店主を支配しようとしているな』とピンときたんです」
独自に商品を仕入れることのできる仕入れ先の制限は、オーナー経営者を「単なるマネジャー」になり下げることになる。さらに、2009年に近隣出店(ドミナント)ができるように契約書を変えはじめたのだ。
日本と違い、米国のフランチャイズ契約は、店の営業権・経営権を自由に転売できる「Bタイプ」というものだった。この場合、フランチャイズ権はオーナー経営者の資産となる。このため、店の営業権・経営権の資産価値を下げるような近隣出店もできなかった。
「本部は事業拡大のために加盟店主に店の経営を任せます。そのかわり加盟店も手っ取り早くお金稼いで、店を転売できるんですよ。(略)つまり、本部と加盟店は『ギブ・アンド・テイク』なんですよ、もともとが」
「隣りに店など出されたら『のれん代』が毀損され、売却するとき店の価値が下がり、投資の回収ができなくなり、大問題です」