そして、困り果てた原田氏は慌てながら、こんな珍説まで披露し始めた。
「……なんかいかにも日本が戦争を起こして、それに対して、そのー、謝らなければならない、反省を強いられる、ということについてはですね、さまざまな、これは議論があるところであります。まああの、よく東京裁判史観という言葉ありますけども。東京裁判というのはもっぱら日本の、侵略というだけで、戦争が起こったと、まあ(そう)いうようなね、ことから当然、東京裁判自身はですね、まあそのー、日本のね、断罪されたかたちになってます。私は、そこはゼロではないとは思いますけど、まあ同時に、あとでマッカーサーまでもがね、『これは明らかに日本の自衛のため戦争だった』と(証言した)。そのへんの東京裁判史観が総括されないまま今日があるのも事実なんです」
要領を得ない原田氏の説明だが、ここでも原田氏は荻上氏から間違いを指摘されてしまう。
「マッカーサーのその言葉は誤訳なんですけれども。実際は『自衛のための戦争』というニュアンスの言葉ではないんですね」
荻上氏の言うとおり、「日本の戦争は自衛戦争だとマッカーサーが証言した!」というのは保守界隈で定番の“誤読ネタ”で、もちろんそこには太平洋戦争を肯定したいという欲望がある。だが、原文の発言全体を読めば普通に誤りだとわかり、一般的な歴史学者は相手にしない説だ。
誤解を指摘された原田氏は、原文を読んだことがなかったのだろうか、「ああそうですか、まあまあまあ──」と被せてうやむやにしようとするが、荻上氏はさらに、質問を続ける。
「話を少し戻しますと、ということは先ほど『私たちとして』という話を、主語として使われたのですが、これは自民党として南京大虐殺、あるいは虐殺という言葉を使うこと自体が問題だというふうにメッセージを出していくということになるんでしょうか?」
すると、原田氏はこう答えた。
「私は、あのー、そのように理解していただいていいと思いますね」
そう。原田は“自民党として「虐殺」を否定している”と明言してしまったのだ。さらに、政府・外務省が殺害行為などがあったことは事実だと認めていることについてはどう考えるのか、と問われると、こんなことを語り始めた。