「女性自身」(光文社)6月2日号
ヤジに怒号、嘘とごまかしに言い切り、噛み合わない議論。茶番ともいうべき安保法案の国会審議が続いている。この国会中継を見て、安倍政権はやはり、国民を戦争に引きずりこもうとしてるんじゃないのか、と不安に思い始めた国民も多いはずだ。
だが、マスコミの動きは相変わらず鈍い。テレビは官邸の圧力に怯えて一部の番組以外はほとんど報道自体を放棄しているし、読売や産経などは安倍政権に尻尾をふって逆に安保法案の宣伝役を買って出ている有様だ。男性週刊誌も部数につながらないからか、安保法制を本格的に批判しようというところはほとんどない。
ところが、そんな中、意外なメディアが安保法案を俎上にあげ、戦争へと突き進む安倍政権に対して真っ向から“反対”の論陣を張り始めた。
普段は芸能人のゴシップばかり追いかけている女性週刊誌、たとえば、「女性自身」(光文社)は6月2日号でこんなタイトルの記事を掲載した。
「あなたの子供が“アメリカの戦争”に命を捨てる!」
この記事、タイトルだけでなく、内容もかなり踏み込んだものだ。政治評論家の森田実のコメントをメインに構成されているのだが、森田は安保法案の本質をこう指摘する。
「(11本の安全保障関連法案は)自衛隊が状況に応じて戦争ができる、あるいは戦争に加担できるように整備されています」
安保法案は「戦争ができるための法」と言い切る森田。森田のスタンスは保守でありながら、護憲主義者でもある。その森田は、武力攻撃の判断基準が曖昧なのは、時の政権が勝手に解釈して自衛隊の武力行使を容認できようにするためだとして、法案成立に躍起になる安倍政権の“ウラの思惑”をこう指摘するのだ。
「日本はファッショ政治に向かって動きだしたと言えますね。その政治が目指しているのは米国への従属です。つまり、今回の法案は、日本国民のためではなく、すべては米国のための安保法制なのです」
安保法案は日本国民を守るものではなく、“米国の戦争”に加担できるようにするための法。その証左として4月に安倍首相が行った米国議会での「安保法案を夏までに成立させます」という国際公約、さらにはアーミテージ元国務副長官の「日本の自衛隊が米国人のために命を掛けることを宣誓した」という発言を取り上げ、今回の法案の本質は、米国のために日本も戦争をする、命も投げ出すものだと、厳しく批判する。