『ムハンマドよ、パリは燃えているか。―表現の自由VS.イスラム的信仰―』(幸福の科学出版)
フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件から約1カ月半、またしてもデンマークのコペンハーゲンで2名の犠牲者を出す銃撃事件が起こった。今回、ターゲットとなったのは、ユダヤ教会の礼拝所と、風刺画や言論の自由について訴える集会だった。──そんななか、日本でも「シャルリー・エブド」の風刺画を掲載した『イスラム・ヘイトか、風刺か──Are you CHARLIE?』が第三書館から2月10日に発売され、大きな批判が起こっている。
第三書館の北川明社長は、出版の動機を「同紙が掲載してきた風刺画にはヘイトスピーチとの境界線上のものもある。どういう表現なら認められるのか問題提起したい」「イスラム教徒がなぜ風刺画を嫌悪するのか、現物がないと議論が深まらない」(1月24日付、朝日新聞)と語り、風刺画の正当性を問うものだと説明している。実際、本のなかではイスラム教徒に配慮して預言者ムハンマドの顔にはモザイクをかけるといった加工をほどこしてあるが、それでもネット上では「イスラムと日本の対立を煽る意図がある」「日本でテロを起こしたいのか」と批判の声が続出している。
だが、かれらは知らないのだろうか。現在、書店ではこの本よりももっと危ない本が平然と並べられ、売られている現実を。──それは、1月24日に発売された幸福の科学総裁・大川隆法の『ムハンマドよ、パリは燃えているか。―表現の自由VS.イスラム的信仰―』(幸福の科学出版)だ。本書のなかで大川氏はいつもの“霊言”でムハンマドを降ろし、過激な発言を連発させているのだ。
まず、大川氏が降ろしたムハンマドは、質問者(幸福の科学関係者3名)からシャルリー襲撃についてどう考えているのかを問われ、「何?「殺していいかどうか」とかいうこと?」「だからさあ、もとは……、まあ、フランスも、空爆とか、いろいろ近代兵器を使って、イスラム教徒をいっぱい殺してるからねえ」と回答。そして、質問者がやんわりと“言論ではなく暴力で対抗するのは受け入れがたい”と伝えると、こんなことを言い出すのだ。
「いや、小さいじゃないか。だって、犯人だけ撃ったんだろう? 犯人を潰しただけでしょ? あれは、ほとんど、池田屋の斬り込みと一緒だよ」
い、池田屋ってあの幕末の池田屋!? 大川氏の霊言によるムハンマドは日本に造詣が深いらしく、その後も「オサマ・ビン・ラディンなんていうのは、日本でいやあねえ、武市半平太なんだよ!」などと発言。さらに、シャルリー襲撃犯について、
「それは、天国に還って、もう処女百人ぐらいはべっとるよ。酒を飲んでいるだろう。(中略)当然だよ。もう英雄でしょう、当然ながら。それはそうですよ。神風特攻隊が、敵の航空母艦にぶつかって沈めたようなもんだよな」
と言ったかと思えば、やはりなぜか話題は日本に移り、こう怒り出す。