しかし、この構造こそがこの朝日バッシングの本質なのだ。とにかく自分たちの誇りとやらを傷つける慰安婦の存在を否定したいがために、ほんのわずかな誤謬を探し出して、それを針小棒大に騒ぎ立て、「陰謀」「捏造」というデマを拡散し、スケープゴートを作り出して、「売国奴」という言葉で犯罪者のように血祭りに上げる。そのやり口は、それこそ関東大震災のときにデマをばらまいて朝鮮人を虐殺したやり口と同じだろう。
しかし、当の植村はこんな目にあいながらも、慰安婦問題について冷静にこう語っている。
「結局、慰安婦問題を否定したがる人たちって、元慰安婦の人たちとほとんど向き合ったことがないと思うんです。おばあさんたちの声に直接向き合っていない。それで証言の食い違いみたいなところに固執して否定したがるのって、すごく残念な気がする。こんなことをいくらつづけても、世界から孤立しちゃうんじゃないかって気がしますね…」
同書には、他にも、朝日で論説主幹や主筆まで務めながら「竹島を韓国にくれてやれといった国賊」と罵られている若宮啓文や、猛バッシングの渦中で東京本社報道局長を務めていた市川速水らへのスクープインタビューも掲載されている。
世論におもねった第三者委員会の検証などではわからない、朝日問題の本質を知るためにも、ぜひ一読してみてほしい。
(エンジョウトオル)
最終更新:2014.12.25 10:35