そして大ヒットの要因に関連するのが、「お姉ちゃんは傘。わずらわしいけれど、困ったときは助けてくれる」。このあるあるが示す通り、今まで姉妹といえば、「しっかり者の姉」と「奔放な妹」の組み合わせが一般的なイメージだった。劇中でも途中まではこの方程式に乗っ取って物語が進んでいったが、終盤にはそれがひっくり返される。エルサは魔法の力を持つ「ありのままの自分」を解放し、アナはそのままのエルサを愛するように。ここで“助けられた”のは奔放な妹ではなく、しっかり者の姉のほうなのだ。このように、姉や妹といった“役割”を乗り越え、互いを認め合う2人の姿が人々の心を打ったのではないだろうか。
随所にあるあるを散りばめ共感を呼びつつ、最終的には「姉だから」「妹だから」といったネガティブな偏見を壊して、新しい価値観を打ち出した『アナと雪の女王』。こう考えると、大ヒットを記録したのは当然なのかもしれない。
(江崎理生)
最終更新:2014.07.05 03:04