しかし、ここまではまだ序の口だ。竹田氏は続いて、子どもたちを前に、こんなことを言い始める。
「男系男子の血筋を受け継ぐ人が天皇になってきたんですけど、これいつからかっていうと2000年前からなんですよ。」
「「なんで?」とか「女がどうの」「男がどうの」とか言うけど、これで2000年来てるんだから。これをやっぱり守っていったほうがいいんじゃないかなというのが、私の考え。」
本サイトでも再三指摘してきたことだが、男系男子による皇位継承が2000年続いてきたなどという事実はない。6世紀までは、男系男子どころか血縁による継承すら確立していなかったというのが歴史学では常識になっている。にもかかわらず、竹田氏は男系男子の正当性を主張するために、嘘の歴史を小学生に教え込もうとしたのである。
さらに、呆れたのは、続いて飛び出したこんなセリフだった。
「男系継承っていうのは、これ、もし、子孫だったら誰でもいいってやっちゃったらどうなるかっていうと、神武天皇の子孫って何人いると思います?1億2000万人いるんですよ。」
「君たちも神武天皇の子孫なの。島国で2000年間やってるわけだから、みんな神武天皇の血筋ひいてんの、統計遺伝学っていうのがあって、計算上そうなってるんですよね。
子孫だったら『誰でもいい』になっちゃう。だから男系というところに絞ってきたんです。」
そもそも神武天皇は祖母がワニ(サメ)で130歳くらいまで生きたことになっている神話上のキャラクターにすぎないし、1億2000万人、つまり日本人全員が神武天皇の子孫だという家族国家観は、天皇のために命を捨てろという「教育勅語」のベースにもなった危険な思想だ。そんなものを公共の電波で、子どもたち相手に刷り込んでいいのか。
しかも、竹田氏はこの1億2千万人=神武天皇の子孫というトンデモ史観をもとに「皇位継承者が広がりすぎるから、男系男子に絞った」かのような主張をしていたが、これもまったくのインチキだ。養子候補となる旧宮家の男系男子が現在の天皇から30親等以上離れているという事実からも自明なように「男系男子」だけを根拠にしたところで皇位継承者が広がりすぎるのは変わらない。絞るという意味なら、戦後の皇室典範でも旧皇室典範でも皇族に限定されており、皇族の範囲や皇位継承順位は「男系」だけでなく「直系優先」や「親等の近さ」などによって定められ、養子は禁じられていた。つまり、「女系」でも「直系」に限るなどすれば、皇位継承者を現在と同様に絞ることができる。広がりすぎるというなら、むしろ養子案こそそのリスクが高い。男系男子に限ったのは、明治期の男尊女卑思想に基づく政治的な理由に過ぎないのに、何をゴマカしているのか。