しかも、小泉防衛相や自民党には、今回の古賀議員攻撃によってもうひとつ、ごまかそうとした問題があった。
実は古賀議員の今回の質問は、経済的徴兵制などがテーマではなく、防衛省が全国の小学校に配布するために作成した「まるわかり!日本の防衛 はじめての防衛白書」というパンフレットの危険性を指摘するのが趣旨だった。
同パンフをめぐっては、その内容が問題となり、教育委員会や学校の判断で配布されなかった地域が相次いだのだが、たしかに、決めつけと印象操作で一方的な結論に持っていくような偏った記述がたくさん出てくる。
たとえば、さまざまな要因のあるロシアのウクライナ侵攻について「ウクライナは防衛力が足りなかったため攻められた」と断定していたり、北朝鮮・中国・ロシアという3つの国名を具体的に挙げ「日本が位置する地域は安全とはいえません」と恐怖を煽っていたり、「みなさんの命と平和な暮らしを守るための、3つの方法」の1つとして“アメリカと一緒に、「攻撃を思いとどまらせる力」「攻撃に立ち向かう力」を強くする”ことを説いていたり……。
こうした記述からは、小学生にまで他国への敵対心と国防意識を植え付けようとする防衛省の意図が明らかに伝わってくる。
いや、そんなレベルではない。防衛省=自衛隊は最近、将来の志願者を増やすために、貧困層の狙い撃ちだけでなく、中学生や高校生をターゲットにしたPR 活動に力を入れているが、いよいよ小学生の段階から”将来は自衛隊に入って国のために戦う“という思想教育を始めたのではないかとさえ疑いたくなる。
いずれにしても、古賀議員は今回、この小学生向けに一方的な誘導を行ったパンフの問題点を取り上げ、「子どもに対する配慮はあったのか?」と追及したのである。
ところが、小泉防衛相は「日教組の特別中央執行委員までお務めになられた古賀先生」などとネトウヨを煽る皮肉を口にしたり、古賀議員が防衛問題はもっと多角的な視点から客観的な説明をするべきだと主張したのをスカして、「ありがとうございます。今まで以上に積極的にやらせていただきます」などと返したり、まともな答弁を一切しなかった。
そして、この態度に苛立った古賀議員が感情的になって、問題の「自衛隊に行くのは経済的に厳しい子どもたち」「豊かな子どもたちは自衛隊とかなりません」という発言をすると、小泉防衛相は追及封じにその発言を利用し始めたのだ。
古賀議員が安全の脅威として具体的な国名を挙げていることについて、学校にはそういう国の子ども通っている可能性もあることを質問すると、小泉氏は古賀議員がすでに謝罪・撤回したにも関わらず、「先生が言う、近隣の国々の子どもへの配慮の前に、自衛隊の子どもたちに配慮の欠ける発言だったのではないでしょうか」「自衛官の子どもたち、みんな貧しい家庭の子どもしかいないと言われましたけど、全くそういうことはありません。事実誤認だと思います。それこそ、まさに一面的な自衛官、自衛官の家族に対する見方なんではないでしょうか」と、問題の発言を蒸し返した。
この小泉防衛省の煽りに乗っかって、萩生田光一幹事長代行をはじめとする自民党の右派政治家、右派メディア、コメンテーター、ネトウヨが一斉に、古賀攻撃を展開し始めた。
その結果、古賀議員が追及した防衛省による小学生への戦争教育パンフ問題は完全に消し去られ、国会もメディアも古賀批判一色。所属の立憲民主党までがパンフ問題を追及するどころか、謝罪して古賀を腰砕け状態となった。