「週刊誌より秘書を信じる」「私も秘書も会ったことない」「私も秘書も面識ない」「私は他候補の人格批判したことない」「信じていないのかと逆に秘書に怒られた」……。
高市首相は、4月下旬の第一報以降、毎週のように「週刊文春」に新たな証拠を突きつけられながら、こんな空疎な言葉で事実を否定してきた。しかし、その答弁のトンデモぶりが際だったのは、やはり6月4日、5日に、音声を突きつけられたときの国会答弁だろう。
前日の6月3日、「週刊文春」が「私も秘書も(動画作成を告発している)松井氏と面識がない」という高市氏の主張をくつがえすために、木下秘書と松井氏のZoom会議の音声を公開したのだ。
これを受けて、4日の衆院予算委員会で、中道改革連合の伊佐進一衆院議員が、この音声が秘書の声かどうかの確認を求める。
すると、高市首相はまず「通告を見たのが今朝の3時半」とお得意の寝てないアピールをしたうえ(伊佐議員は前日昼には事前通告していた)、こんなことを言い出したのだ。
「有料会員になって聞くのは難しい」
「こちらの言い分は関係なく、私の面識のない方の言い分をイメージ操作をして、報道してこられたそこの有料オンライン会員になろうとは思いません」
そう、高市首相は有料であることを理由に、音声を確認していないと言い張ったのである。そもそも国会議員には税金から毎月100万円の文通費(調査研究広報滞在費)が支払われている。選挙の公正、民主主義の根幹に関わる大問題なのだから、初月300円くらい払って事実を調査し、説明責任を果たすのは当然だろう。それを「有料だから〜」とは、まるで宿題を忘れた子どもの言い訳ではないか。
仕方なく伊佐議員がその場で音声を流そうとするが、テレビ中継で流れてしまうことを理由に議長が拒否。中道議員らが音声を高市首相に渡し、お昼休憩に音声を確認するよう求めた。
ところが、休憩が明け午後の質疑で同じく中道の長妻昭衆院議員が音声データそのものを聴ける状態でお渡ししておりますが、(秘書の声かどうか)真偽はおわかりになりましたか」と質問すると、高市首相は「規約を確認中」「規約の関係で確認できない」と発言。さらに「有料のものを他人に聴かせてはいけないという規約に抵触してはいけないと思ったので、文字起こしをしてもらった」「内容は動画作成のものではなかった」と言い出した。
「規約」を持ち出し、何がなんでも音声を確認しないという姿勢を押し通したのだ。しかも、姑息なのは、動画作成者と秘書の間に面識があるかどうかを判断するための音声確認なのに、意味のない文字起こしをさせ「内容は動画作成のものではなかった」などと言い出したことだ。
たしかに、「文春」が公開したオンライン会議は中傷動画作成ではなく「サナエトークン」に関するものだが、内容が違うからといって「面識がない」という高市首相の嘘が本当だということにはならない。というか、そもそもこの音声は、中傷動画作成でつながった木下秘書と松井氏が「サナエトークン」についても相談していたというもので、むしろ両者の関係の深さを物語っているとさえいえる。
にもかかわらず、内容が動画作成ではないことだけを強調して論点ずらしに利用するのだから、高市首相の厚顔ぶりには呆れるしかない。