万博を隠れ蓑にしたカジノ推進に、建設費などに国費、大阪府・市負担分あわせて3000億円以上の公金投入、さらには10兆2000億円の万博関連インフラ整備費……。あらためてその無駄遣いと詐欺的手法に慄然とするが、しかし、冒頭で指摘したように「万博は黒字で大成功!」という喧伝によって、こうした事実は完全にかき消されようとしている。しかも問題なのが、この間、万博の膨大な公金投入や不透明な金の使い方を指摘してきた報道や識者、市民に対して、「懺悔しろ」などと非難の声が高まっていることだ。
言っておくが、結果として運営費が黒字になろうが、入場者の満足度が高かろうが、公的イベントの費用や運営方法に問題があれば、批判するのは当然のことだ。にもかかわらず、万博については、問題点を指摘していたこと自体が悪だというような空気が醸成されてしまっているのである。
昨年8月に出版された『大阪・関西万博 「失敗」の本質』(ちくま新書)において、編著者でノンフィクション作家の松本創氏は、こうした状況を予見するようなこんな文章を書いている。
〈こうしたメガイベントというのは、五輪もそうだが、事前に批判すれば「楽しみにしてる人もいるのに水を差すのか」「成功へ努力する関係者の足を引っ張るのか」と言われ、事後に検証すれば「終わったことをいつまでも」「今さら言っても遅い。なぜ事前に言わないのか」と批判されるのである。どんな形であれ、終わってしまえば、なんとなく「やってよかった」という空気ができ、それに乗じて関係者は「大成功だった(私の手柄だ)」と言い募る。「成功」の基準がないから、いくらでも恣意的に語られてしまう。〉
そう、松本氏の指摘通り、万博推進勢力はいま、「大成功だった(私の手柄だ)」と言わんばかりのPR活動に勤しんでいる。吉村知事は閉会式で、「またいつか、ここ日本で万博をやりましょう」と胸を張り、在阪メディアを中心にテレビ番組に出演しまくって、手柄自慢を繰り広げた。
いま一度言うが、こうした喧伝にごまかされてはならない。万博が終わったいま、私たちがやるべきなのは、万博とカジノへの巨額の公金投入の問題を徹底的に検証し、その責任を追及することなのである。
(編集部)
最終更新:2025.10.14 12:22