恐ろしいことに、国費で負担している万博費用は、これだけでは終わらない。政府が今年2月4日に公表した「大阪・関西万博に関連する国の費用について(Ver.3)」という文書によると、国・自治体・民間で負担している「万博関連のインフラ整備」として計上した費用が、じつに10兆2000億円にものぼっているからだ。
国はこの万博関連インフラ整備費10兆2000億円について、〈あくまでも本来の行政目的のために実施する事業であり、大阪・関西万博のみに資する金額を算出することが困難なもの〉としている。だが、少なくともこの文書内でも〈万博の着実かつ円滑な開催〉のために実施したという「会場周辺のインフラ整備」(夢洲の下水道整備、夢舞大橋の拡幅、地下鉄延伸など)にかかる約800億円は、万博を夢洲で開催しなければかからなかったものだ。
しかも、この「万博のためだけとは言えない」などと誤魔化されている10兆2000億円の内訳のなかには、「会場周辺のインフラ整備」のように、あきらかに万博関連の事業が多々ある。にもかかわらず、「万博のため」といえるものをしっかり仕訳し、負担額を透明化しようとはしないのである。
その上、この万博関連事業のなかには「税金の無駄遣い」としか思えないものも多数含まれている。たとえば、13日にプレジデントオンラインが配信した「187億円の税金で『ムダな船着場』をつくっただけ…国も、大阪府も、大阪市も沈黙する『船で行ける万博』の大誤算」という記事がSNS上で話題となっているが、こうした無駄遣い事例は氷山の一角にすぎず、精査すればいくらでも出てくるはずだ。
少なくとも数千億円、膨らめば兆にも届きかねない巨額かつ不透明な税金による負担を強いておきながら、国庫に戻るわけでもないのに「最大280億円の黒字!」などとドヤ顔する──吉村知事は厚顔無恥にもほどがあるだろう。
だが、もっとも忘れてはいけないのは、インフラ整備に巨額が必要となることがわかっていながら、カジノ誘致のために万博会場を夢洲としたことだ。
夢洲での大阪万博開催は、事実上、当時大阪府知事だった松井一郎氏によるトップダウンで決定したものだが、それはカジノだけでは税金投入に反対意見が出るため、万博という大義名分を使ってインフラ整備を図ろうという算段だったためだ。
しかも、本サイトでも既報のとおり(https://lite-ra.com/2025/07/post-6364.html)、よりにもよって万博のための経費を使い、大阪府と大阪市がカジノ用地の工事を約10億円もかけて実施。これによりカジノ事業者が20億円超の利益を得ているばかりか、大阪府・市側もカジノ事業者への便宜供与で違法行為となる可能性を認識していたといいう問題も発覚している。