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「大阪万博は大成功」は本当か? 運営費は黒字でも建設費などに3000億円以上の公金投入、インフラ整備に10兆円以上

EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイトより


 10月13日、ついに大阪・関西万博が閉幕したが、少し前からメディアやネット上では「来場者数が目標突破」「黒字は確実!」「万博は大成功!」という声が広がり、万博を推進していた政治家や維新応援団も、「万博に反対していたマスコミは懺悔しろ!」「批判していた連中はこの結果にどの面下げて」なんて雄叫びを上げている。

 その筆頭が、万博推進の首謀者である大阪府の吉村洋文知事だろう。吉村知事は7日万博、赤字になったらどうする!と散々言われましたが、結果、『約230億円~280億円の黒字』となる見込みです。大きな黒字です。もし、赤字だったら、今頃、メディアから連日猛批判の日々だったでしょうね。〉などとXに投稿。12日付の産経新聞のインタビューでも「総数で2800万人にお越しいただいた。運営収支は最大280億円の黒字が出る見通しで、大きな経済効果が出た。合格点だったと思う」と胸を張った。

 しかし、吉村知事の言う「2800万人」というのは関係者を含む水増しされた数字で、来場者数は11日時点の速報値で約2508万人であり、万博協会が想定していた2820万人には届いていない。

 また、吉村知事は「最大280億円もの黒字!」と胸を張るが、これもまやかしでしかない。

 吉村知事の口車に乗せられて誤解している人も多いようだが、今回「230〜280億円の黒字」とされているのは、スタッフの人件費やシャトルバスの運行費用といった運営費の支出に対し、チケット販売やグッズ売上などの収入が上回った、というだけの話。わたしたちの税金からなる国費や大阪府・市が支出している建設費などは、この運営費の支出にはまったく計上されていないのだ。

 そして、この国費から大阪万博に注ぎ込まれた費用は、途方もない金額だ。「万博は黒字」などというまやかしに騙されないためにも、あらためて検証しておこう。

 まず、大阪万博の開催にあたっては、会場建設費約2350億円を、国・府市・経済界で分担するため、国費負担分は最大783億円にのぼる。また、「日本館」建設費などに最大360億円、途上国等の出展支援費に約240億円、警備費に約255億円、機運醸成費に約103億円を支出。つまり、わたしたちの税金からなる国費から約1741億円も負担する見込みなのだ。ちなみに、大阪府・市の負担総額は1348億2000万円の見込みとなっている(今年2月時点の発表)。

 しかも、当初、警備費は運営費に含まれており、入場料収入を充てる計画だった。ところが〈運営費の上ぶれの主な要因になる見通しであることが判明〉すると、国が負担する方針に切り替えたのだ(朝日新聞2023年10月8日付)。

 つまり、当初の計画どおりに警備費が運営費で賄うことになっていれば、万博運営費の収支が赤字となっていた可能性もあるというわけだ。吉村知事は「黒字だ!」とはしゃぐが、「その黒字とやらで国民の税金を返せよ」と言いたくもなるだろう。

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