安倍派の裏金問題の真相究明も果たされておらず、そればかりか、安倍元首相や萩生田氏らが統一教会幹部らと総裁応接室で面談し、選挙支援を依頼していたという新事実も判明したというのに、逆に「安倍カラー」をウリにして極右の支持を取り付けるとは……。恥も外聞もないとはまさにこのことだ。
しかも、萩生田氏の援軍はこれだけではない。テレビのコメンテーターからも、まるで「萩生田応援団」のような発言が飛び出しているからだ。
たとえば、9月22日放送の「サンデージャポン」(TBS)では、前述した安倍元首相や萩生田氏らと統一教会幹部らの面談問題が取り上げられたが、番組に出演した元経産官僚で「安倍応援団」のひとりだった岸博幸氏は、「総裁応接室を使ったから組織的関係(がある)とは無理がある」とコメント。さらに、「知り合いがいるので萩生田事務所に確認した」「(萩生田氏は)おそらく当日呼び出された」と述べ、「安倍さんが(個人的に)自分でやってる」として安倍氏による独断の結果ではないかと解説したのだ。
安倍元首相が存命中は安倍政権の擁護を連発していた岸氏が、安倍氏に責任をすべて押し付けて露骨に萩生田氏を庇う……。ちなみに、岸氏は先月公開されたYouTubeチャンネル「ReHacQ」(リハック)の番組でも萩生田氏と共演。SNSに〈萩生田さんって、顔はコワモテでとっつきにくそうだけどいい人じゃんと実感〉と投稿している。
「萩生田応援団」説が囁かれているコメンテーターは岸氏だけではない。10月13日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ)では萩生田氏ら裏金議員が非公認となったことについて取り上げたのだが、タレントのヒロミが「たしかに裏金は悪いんだけど、僕らは政権を決めないといけないわけだから、自民党がダメだったらどこなのかという選択がわからないというか、ないというか」とコメント。立憲民主党の野田佳彦代表について「そこ(裏金)だけを突っついていると、俺はまだこの話やっているのかというのも少しある」と述べた。
違法な裏金事件を「まだこの話やっているのか」と言うのは問題の矮小化にほかならず、SNS上では批判が巻き起こったが、同時に注目されたのはヒロミと萩生田氏の関係。過去に撮影されネット上に残っているふたりのツーショット写真や、過去にテレビ番組でヒロミが「萩生田さんは我が町、八王子の俺の1個上の先輩なんで。萩生田さんには内閣に入っていただきたい」と発言していたことなどが拡散されたのだ。
公示前とはいえテレビでも萩生田氏を擁護するかのようなコメントが垂れ流される──。このように、裏金・統一教会ともに疑惑のど真ん中にいるにもかかわらず、萩生田氏は強力な援軍を得た選挙戦を展開しているのだ。
だが、果たしてこのまま萩生田氏は逃げ切れるのか。というのも、ここにきて「新たな疑惑」が浮上。それは、自民党東京都連の裏金問題で東京地検特捜部が捜査に乗り出した、という問題だ。