だいたい、“俺は意識が高い”と強調した世耕氏だが、政治資金や管理にかんする法令遵守の意識はあまりにも低い。
実際、世耕氏をめぐっては、地元選挙区である和歌山市在住の男性に、「一見さんお断り」で予約なしには買えない老舗洋菓子店の有名高級クッキー缶を贈っていたことが有権者買収にあたるのではないかと問題になっている。
問題の男性のブログによると、2023年11月ごろに世耕氏と帝国ホテルで会食し、お土産として高級クッキー缶を受け取ったという。その後、男性は銀座のクラブに行き、このクッキー缶をホステスに振る舞ったというが、そのときのことをこう綴っている。
〈「一緒に食べよか。」私のことばに、ホステスのみんなからは今まで聞いたことのないような歓声が。不思議がる私に彼女たちは「このクッキー缶、予約で1年待ちはざらなんですよ。」と教えてくれたのでした。クッキー缶のおかげで今夜はヒーロー、世耕先生、ありがとう。〉
言わずもがな、公選法では国会議員やその後援団体などが選挙区内で金品を贈ることを禁じている。一方、世耕氏が訂正した政治資金収支報告書によると、世耕氏の政治団体はキックバックを受けた裏金で贈答品を購入し、この老舗洋菓子店では2021年と2022年に総額37万8000円分も支出している。
裏金で購入した贈答品を、有権者に配り歩いているのではないか──裏金事件を発端に公選法違反の有権者買収疑惑が浮上したわけだが、世耕氏は昨日の政倫審でこんな主張を展開したのだ。
「クッキーは個人的に用意した。和歌山の有権者には私の資金管理団体で購入した贈答品は何一つ渡したことはない」
「贈答品はいくつか還付金の中から買っているが、与野党の政治家との会食の手土産や、経済界などからごちそうになる時にこちら分の負担との思いで返している」
そもそも、自腹であろうと有権者への金品贈与は公選法違反であることに変わりはない。しかも、ネット上では「裏金の存在を去年末まで知らなかったのに、どうしてその使い道を自分で使い分けることができたのか?」と指摘が相次いでいる。