いや、有耶無耶な説明に終始したばかりではなく、安倍派4人衆の連中は政倫審という場、さらには国民を舐めているとしか思えない発言も連発。たとえば、西村氏は「秘書に指示していたので(パー券ノルマが)いくらかは具体的に意識したことはなかった」「(裏金は)秘書が判断して処理していた」などと「秘書ガー」を連呼。また、「派閥の経理・会計には一切関与していない」とシラを切った松野氏は「事務総長の役務は監督責任を求められるものではないんじゃないか」とまで言い出す始末だった。
このように、無反省極まりない姿勢を取りつづけた安倍派4人衆。逆に言えば、全容解明のためには、政倫審ではなく偽証罪に問われる証人喚問の実施が必要であることが明確になったと言えるだろう。もちろん、その場には、裏金キックバックのスキームをつくり上げた人物として指摘されている森喜朗・元首相をはじめ、巨額の裏金キックバックを受け取っていた萩生田光一氏、事務総長経験者でありながら自民党が政倫審に出席させなかった下村氏らを出頭させる必要があるのは言うまでもない。
だが、問題はメディアの報道だ。これほどの大事件についての審理がおこなわれたというのに、マスコミは大谷翔平選手の結婚の話題をトップニュースに扱うなど大騒ぎ。リベラル寄りの毎日新聞でさえ「攻め手欠いた野党」などと表現し、1日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)にいたっては、安倍派4人衆が無責任な態度をとったことよりも、政倫審の裏で予算案強行採決に踏み切った岸田政権に抵抗する立憲など野党を「昭和のやり方」などと批判していた。メディアがこの体たらくだと、岸田自民党は政倫審で裏金事件の幕引きとするのは必至だ。
問題が噴出しても、自民党が開き直ってメディアもそれを看過、なぜか「だらしない野党」などと責任を転嫁する。安倍政権以降、こうした光景が何度繰り返されてきただろう。今度こそ膿を出し切るためにも、世論こそが裏金事件の幕引きを許さず、証人喚問の実施をはじめ全容解明を強く訴えていかなくてはならないだろう。
(編集部)
最終更新:2024.03.02 09:07