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森喜朗、安倍晋三、菅義偉は東京五輪不正にどう関わっていたのか? “キーマン”高橋治之が保釈後初インタビューで証言

 今回の高橋被告のインタビューが露わにしたのは、森元会長の問題だけではない。もっと衝撃的だったのが、安倍晋三・元首相が東京五輪招致をめぐる不正行為にお墨付きを与えていたことを、高橋被告が認めた点だ。

 高橋被告は、東京五輪に本格的に関与することになったきっかけについて「安倍晋三元首相から招致を頼まれたんです」と明言。しかし、安倍氏からの申し出に対し、高橋被告は「五輪というのは、終わってから『帳面を出せ』とか『記録を出せ』と言われて、事件になることがある。だから、僕は表だってはできません」と断ったという。だが、安倍氏は引き下がらなかった。

「安倍さんは、『絶対に迷惑がかからないようにします。それは僕が絶対に保証します』と仰るのです。だから、僕は安倍さんの言葉を信じて招致に関わるようになった。それがこんなことになってしまって。正直、『参ったな。何言ってんの』という気持ちです」

 じつはこのエピソードは、1年ちょっと前にも報道されていた。安倍氏が高橋氏に招致活動を依頼する際、「大丈夫です。絶対に高橋さんは捕まらないようにします。高橋さんを必ず守ります」と約束していたと、「文藝春秋」2022年10月号が報道したのだ。

 一国の総理大臣が不正行為にお墨付きを与えていたというこの問題は、ネット上で大きな話題となり、本サイトでも取り上げ、検証記事を掲載した。

 このときは証言者が匿名だったこともあり、マスコミはほとんど取り上げなかったが、安倍元首相が「事件になっても高橋氏の責任は問わない」と約束していたのは、事実だったのである。

 今回のインタビューでは、当時官房長官だった菅義偉・前首相も五輪の不正な招致活動に重要な“役割”を果たしていたことが明らかになった。高橋被告はこう証言している。

「五輪招致に関わるようになったといっても、現職総理の安倍さんとはなかなか連絡がとれない。安倍さんからは、『官房長官と連絡を取ってください』と言われたので、菅(義偉)さんに連絡すると、『安倍総理から全て伺っています。いつでもおいでください』というので、菅さんとしょっちゅう会って報告などをしていました」

 安倍首相が司令塔となって高橋被告を五輪招致の工作を依頼し、菅官房長官が実務を担う。この構図は、馳浩・石川県知事が“暴露”した招致工作とも合致するものだ。

 馳知事は昨年11月、東京五輪の招致活動時に安倍首相から「必ず勝ち取れ。カネはいくらでも出す。官房機密費もあるから」と檄を飛ばされたと発言。IOC委員たちの選手時代などの写真をまとめた1冊20万円もの「想い出アルバム」を100人あまりいた委員の全員分を作成し、馳氏は「それを持って世界中を歩き回った」という。さらに、この馳発言がきっかけとなって発掘された招致当時の馳氏のブログでは、安倍首相からの指示を受け、菅官房長官に「想い出アルバム作戦」などについて報告した際、「安倍総理も強く望んでいることだから、政府と党が連携して、しっかりと招致を勝ち取れるように」と発破をかけられた、と記述していた。

 使途公開義務がなく事実上の“裏金”となっている官房機密費が、買収を疑われかねない招致工作に悪用されていたことは重大な問題だが、高橋被告も同じように、安倍―菅ラインという政権の中心と連携を密にするかたちで東京五輪にかかわっていたということになる。

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