だが、ジャニーズ事務所とメディアの関係性がもっとも露骨にあらわれたのが、会見での質問だ。
今回の会見では厳しい追及がおこなわれ、報道番組やワイドショーもそうした場面を放送しているが、実際のところ、厳しい質問を浴びせていたのは、おもに大手マスコミ以外のネットメディアやフリーランスの記者たちだった。
たとえば、名称変更について「ジャニーズというのは創業者の名前でもあり、初代グループでもある。何より大事なのは、これまでタレントさんが培つちかってきたエネルギー、プライドだと思ので、その表現のひとつでもいいんじゃないかと思う」などと述べた東山に対し、「あまりにも常識外れ」「(ジャニー氏が重大な)犯罪を犯したという自覚が足りないのではないか」と問いただしたのは、東京五輪問題などを追及してきたノンフィクション作家の本間龍氏だったし、何の具体性もない発表内容に対し、「社長交代と被害者への補償。それで十分だと思うのか。どこが解体的見直しなのか」と迫ったのは「ビデオニュース・ドットコム」の神保哲生氏だった。
また、これまでジャニー氏の性加害を「知らなかった」などと説明してきたジュリー氏に対し、「信じがたいこと」「過去の反省や自分が共謀者という罪悪感はないのか」と追及したのは、首相や官房長官会見でも鋭い質問をおこなっている「ラジオ・フランス」特派員の西村カリン氏。『ミュージックステーション』(テレビ朝日)におけるジャニーズ以外の男性競合グループが出演できない問題や、ジャニーズ退所後に芸能界で干されてしまう問題を取り上げたのは、ジャーナリストの松谷創一郎氏だ。
さらに、東山自身のハラスメント疑惑について口火を切ったのは、しんぶん赤旗の記者であり、その後、フランスのル・フィガロ紙の記者や「Arc Times」尾形聡彦編集長、TBSラジオの澤田大樹記者、東京新聞・望月衣塑子記者、「文藝春秋」で活躍するジャーナリスト・秋山千佳氏らが後につづいた。白波瀬氏を会見に出席させなかった問題を追及したのも、望月記者をはじめ、「NewsPicks」や東洋経済新報社といった“非御用メディア”だった。
そして、こうした“非御用メディア”やフリーランスとは対照的に、ぬるい質問に終始したのが大手マスコミ、とくにテレビ局とスポーツ紙、芸能レポーターだ。